2015
02.0722:29

青い森鉄道踏切事故に思う~属地性に基づく事故・交通心理学の視点~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2015年1月25日13時25分ごろ、青森市内の青い森鉄道の踏切で快速列車と軽乗用車が衝突する死亡事故が発生した。事故について詳しい調査が待たれるが、なぜ踏切で列車と自動車の事故が起きるのか、自動車のドライバー心理や交通事故に詳しい中日本自動車短期大学大脇前教授(交通心理学・自動車工学)に聞いた。

●今回の事故について
25日に発生した「青い森鉄道」の踏切事故には本当に心が痛む。
事故は、列車が見通しの悪いカーブを経由して踏切に進入する状況下で発生した。列車進行方向右側から踏切内に進入した軽自動車(何等かの理由で踏切内で立ち往生していた可能性がある)と衝突、後部座席にいた二人の幼児が車外放出されて死亡、運転していた主婦も負傷したというものである。当該踏切には警報機と遮断機が設置されていた。
現場は、列車の運転手からも軽自動車の運転手側からも視認できる距離が限られていた。当時、列車は時速85Kmで当該踏切に接近しており、遮断機が下りてから28秒程度で踏切に達することになっていた。報道などの情報などを総合すると、列車の運転手からも踏切に進入しようとする車の運転手からも、視認距離はおよそ100メートルである。この距離は、踏切に進入しようとする車の運転手からすると遠く感じる距離である。

当該踏切の入り口から出口(遮断機から遮断機まで)の距離が不明だが、仮に12メートルとすると、踏切の手前で一旦停車してから踏切を通過するまでに要する時間は、長くて10秒程度であろう。当該列車は快速であったが、普通列車なら遮断機が下りてから40秒くらいかかって踏切に達するのではないか。この時間は、踏切で列車の通過を待たされるドライバーの心理としてはかなり長く感ずる。できれば待たされたくない時間である。
踏切を日常的に利用している住民の中には、このことを経験的に知っており、徒歩の場合も含めて、警報機が鳴り始めても踏切に進入し、踏切を通過しようとする人もいるものと推察される。今回被害に遭われた主婦がどのような行動をとったかは別にして、私はこうした事故を「属地性に基づく事故」と呼んで、一般的な事故と区別している。

●属地性に基づく事故とは
遮断機が下りてから列車が通過するまでの時間、カーブの端から列車が見えてから踏切に到達するまでの時間など、そこで生活している人しか知り得ない情報を持っているが為に起こしてしまうような事故を「属地性に基づく事故」と呼んでいる。時間のかかる踏切や通過本数の少ない路線の踏切事故の多くは、こうした属地性に基づくものではないかと推測している。

●最後に
第三セクター等で運営されるローカル鉄道は経営が苦しく設備の更新は勿論、維持管理さえ儘ならない状況にある。事故が発生すると、さらに経営を悪化させて存続が危ぶまれる事態にまで発展しかねない。
踏切事故は、鉄道運営会社がいくら安全運行に努めても防ぎようのない事故であり、踏切を利用する人の「信頼」に頼るほかない。地域の大切な足を守り存続させるためにも、住民の方々には「属地性」による事故を起こすことのないようお願いしたい。

亡くなった二人のお子様のご冥福をお祈りいたします。

中日本自動車短期大学 前教授(自動車工学・交通心理学) 大脇澄男

◆ニュース記事
・FNN|列車と軽乗用車衝突、車に乗っていた子ども2人死亡 青森市
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00285112.html

・朝日新聞|快速列車と軽乗用車が衝突、幼児2人死亡 青森市の踏切
http://www.asahi.com/articles/ASH1T55H3H1TUBNB003.html

・読売新聞|警笛2回の後「バンッ!」車のそばに倒れた2人
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150126-OYT1T50030.html

◆リンク
・運輸安全委員会
http://www.mlit.go.jp/jtsb/index.html

※写真はイメージです。本文とは直接関係はありません。

rail11

 

This site is managed by
Rescuenow Inc.

このサイトは危機管理情報企業、株式会社レスキューナウ 危機管理情報センター(RIC24)が運営しています。

レスキューナウで配信しているニュースのほか、他社配信記事からのクリッピングも掲載しています。

RIC24について
このサイトについて
個人情報について
サイトのご利用について
お問い合わせ