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受話器を持ったまま、玄関の外に出て、雄山を見る。
かろうじて見える雄山の上端に、濃い灰色の柱が立ち上る。
柱の先はすぐに崩れて、ブロッコリーのような形になる。柱の先が崩れはじめるのと、ほとんど同時に、煙幕のような、こちらは、輪郭のはっきりしない雲のような物が、山をなめるように降りてくる。
まるで、舞台装置のドライアイスのよう。山肌を降りてきた雲は、あっという間に目の前の他の景色を塗りつぶし、さっきまでの夏の空気や葉っぱを曇らせて、庭を更に薄曇りにした。
まるで、映画のような、絵のような、噴火の景色だった。
漫画の絵に出てくるような、そのまんまだったので、本当の噴火も、こんなもんなんだ、という感じがした。
外から帰ってきた主人と、都道の方に行って、雄山を見に行くことにする。
都道沿いでは、所々、雄山がよく見えるところに人が集まっていて、「よく見えるよー。」と、呼び寄せてくれる。
神着漁協の前に行くと、みんな集まっていた。
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「すげえぞ。」
「ようやく本当に噴いたねぇ。」
「ほらほら、よく見て。あそこ、石飛んでるよね。」
「だからよ、さっさと噴いちまえば、いいんだよ。」
「いや、これでやっと終わるかな。」
大きく噴く度に、「おおー!」というどよめきが起きる。
でも、怖がっている人が・・・いない。
「たまやーとか言っちゃいそうだよな。」
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「やめてよね。もう。」
「いけいけ、ほら、もっと噴いちまえ。」
しばらく経つと、
「あれ?こんな所で何してるの?」
「いきあわねえな。」
「東京行ってたの?」
「わぁ、そのカメラすごい。すごいの持ってるんですねぇ。」
「道具ばっかりすごくってもよ・・・」。
目の前の噴火と関係ない会話が始まる。
取りあえず、場所変え。戻って、高橋自動車サービス工場の前。
子供たちが、事務所の屋根にのぼって山を見ている。
ここでも、噴く度に歓声(いいのか・・・?)が上がる。
久しぶりに、みんなに会って、留守をしていたことと、帰ってきたことを知ってもらって、おしゃべりして、すかっと楽しい気分で、家に戻ることにする。
それにしても、なんでこっちには全然灰がないのかなぁ・・・。
同じ神着なのに。もー。みんな、家の方にもたまには来てよぉ。
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