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みゃるの避難日記 三宅島から遠く離れて
三宅島・雄山の噴火で火砕流の被害にあった神着地区にあるペンション、SNAPPERSを (スナッパース)ご主人と経営されている、みゃること野田理恵(のだ りえ)さん。 ペンションが火砕流に直撃されるという予期せぬ災害にあって、その状況を冷静に インターネットで発信し続けたみゃるさんに、雄山での出来事を綴っていただきました。
   

5. はじめての噴火。

 

台風3号の進路予報を、私は友達と眺めていた。「三宅を直撃するかなー。」のんきに見ていた。
どっちにしても、今週末は、もうお客がいない。
しかも、私は、今、友達と一緒にいて、三宅でないところにいる。
気楽なもんである。客がいないときならば、台風、ウエルカム。
できれば、私が島にいるときにして欲しいけれど。
 台風が、何事もなく行ってしまったらしい、8日の夜。
何気なくつけていたテレビのアナウンスに耳を疑った。
 「三宅島の雄山が噴火しました。」
 耳で聞いた音で、反射的に画面を見たつもりだったけれど、長い時間がかかったような気がした。
よく覚えているのは、その一瞬、「画面を見ていいのか?」と、思ったことだ。どこの集落がつぶれたのだろう?
どこに溶岩は流れていったのだろう?画面に映っているものが、見慣れた景色だったら・・・。
 緊張の限界の目に映った雄山の噴火は、目を疑うものだった。
雄山のてっぺんに、スピーチバルーンのような、雲が浮かんでいた。
雲じゃないのか、あれが噴火?「ぱふっ」と1発?
 何回画面を見ても、いくら近くで見ても、噴火なのか雲なのかわからない、美しい雄山の映像。でも、噴火という。
溶岩は、いくら探しても、見あたらない。
心配な分、緊張した分、腹立たしくなってきた。
なんだ、この「すかしっ屁」みたいな噴火は。
 それでも、ニュースでやらなくなると、不安になる。
あれは、単にプロローグなのかもしれない。今頃もしかしたら・・・。
どうしよう、明日の予定をやめて、三宅に帰らなくては。
船はでるだろうか?台風が行ったばかり、西風が強い内は、飛行機は飛ばない。
 そんなとき、電話が入った。
「大丈夫だってさ。」
「大丈夫って、噴火だよ。いったい今、どうなってるの?」
「別にどうもなってない。星出てる。」
「噴いているのに、避難とかしていないの?」
「あれ1発だけだから。避難とかそういうのない。
なんか、何日か前に、気象庁が発表していたらしいよ。
こういうのがありえるって。『予想の範囲』なんだって。」
「・・・。」
「だから、海が荒れてるときに、無理して帰ってこない方がいい。」
 上京中は、あまりニュースが見られないから、そういう予想の発表があったことを知らなかった。そうだったのか・・・。
 何となく、腑に落ちない。
腹の辺りに、ねっとりまとわりつくような不安感を感じる。
でも、台風の影響で、船が島に着かない可能性があることの方が、現実的だ。
それならば、明日の予定は、そのままにしよう。
 次の日の朝、気象庁の会見がテレビに映っていた。
やはり、「予想の範囲」だそうだ。
 同じ事を言っているのだけれど、夫から電話で聞くよりも、気象庁の人が話していることを聞く方が、はるかに信憑性がある。
これからの予定は、このままで、いこう。
ただ、ニュースは気をつけて見るようにしなくては・・・。

(野田理恵)
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