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三宅島・雄山の噴火で火砕流の被害にあった神着地区にあるペンション、SNAPPERSを (スナッパース)ご主人と経営されている、みゃること野田理恵(のだ りえ)さん。 ペンションが火砕流に直撃されるという予期せぬ災害にあって、その状況を冷静に インターネットで発信し続けたみゃるさんに、雄山での出来事を綴っていただきます。
   

26-1 それぞれの仕事

 


月曜日の夜、中野診療所のメンバーが集まった。
診療所が閉まって1年と10日。1人上京中で来られなかったのが残念。
メンバーが集まる機会は、意外なことに、これまでなかった。

集まれば、どうしても噴火の話と島の話。
結構、今じゃなくても良い話もあるけれど、それはそれ。
久しぶりで、とても楽しい。

集まったメンバーに限らず、今、島の中では、次の噴火がいつになるかでもちきり。
11日周期説、大潮説、大雨の後説。
私は自説を披露。「私が歯科診療所に行くと、噴く。」
みんな半分呆れているけれど、これまで全て的中。
ってことは、次は、28日に行くように言われているから、28日か29日だぞ。
もしも28日に、清漁さんが魚を開いて、土屋さんが商工会に顔を出したら、完璧だ。
大噴火だ。でも誰も信じやしない。

1年前、こんな風になるなんて、思ってもいなかった。
今、皆それぞれ、新しい仕事に就いている。中には、本業のダイビング業と看護婦を両立している人もいる。
私も、噴火騒ぎ直前の6月半ばまで、アルバイトで使ってもらっていたので2足の草鞋を履いていたことになる。

今日来られなかった1人と、もうひとりは、何をさしおいても大変な仕事がある。
小さな子供のお母さんなのだ。これは、辞めることも、誰かに代わってもらうこともできない。
他の皆も、この噴火中だからこそ、の、仕事に就いているので、代わることなく働き続けている。
でも、お母さん業の方の心労は、どれほどのものだろうか。

私も、自分で自分の身を守れない、噴火のことすらわからない小さな命を2つ抱えている。
完全室内飼いの猫2匹。
家の場合は、ヒトでない故の心配や不便があるが、逆に、ヒトである故の辛さもあるだろう。
小さな子供がいる家庭の、噴火中の生活の大変さはどれほどのものか。

中央診療所は、湯の浜の入り口の途中にあり、かなりの坂になっている。
灰が降ったり雨が降ったりすると、大変なことになる。
いつだったか、診療所の所長の先生自ら、灰かきをしていたっけ。
そんなところに勤めるのも大変だ。車がスリップした話などで盛り上がる。

他にも、どこの誰が、通勤中に大変だった、なんて話は多い。
考えてみれば、通勤といえば車のこの島で、よく今まで、灰で滑った関係の事故が起きていないな、と、変なことに感心した。

それぞれ、ご主人の仕事のこともある。皆、役場や土建業関係、休めないのだ。
どんなに家が大変な状態になっても、こんな時だからこそ、仕事が優先になる。
サラリーマンだから、といえばそれまでだが、自営業の生活が身に付いてしまった私が、忘れてしまっていた大変さがある。
それぞれ、雄山に翻弄されている。それぞれの痛み、苦しみがある。
山が噴いているから、災害下だから、自宅で家族一緒に待機しているわけではない。
皆通常通り、いや、いつも以上に仕事にかり出されている。

 

(野田理恵)

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