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みゃるの避難日記 三宅島から遠く離れて
三宅島・雄山の噴火で火砕流の被害にあった神着地区にあるペンション、SNAPPERSを (スナッパース)ご主人と経営されている、みゃること野田理恵(のだ りえ)さん。 ペンションが火砕流に直撃されるという予期せぬ災害にあって、その状況を冷静に インターネットで発信し続けたみゃるさんに、雄山での出来事を綴っていただきます。
   

16-2 はじめての避難

 


噴煙は高い、が、家に降灰はなかった。
猫の準備はできていたが、人の方の準備があまりできていなかった。
とにかく、日差しが強かった。天気予報で、雨は降りそうにない。
車に日よけが必要だった。カーテン代わりになる、色の濃いバスタオルと、ガムテープをありったけ出す。
思いつく物を積んだあと、様子を気にしながら、風呂に入る。
このあと、何日風呂には入れるかわからない。いっそ、漂白剤を浴びたい。

無線放送2時間後、もうまずいだろうと思い、避難所の三宅中学に向かった。

駐車場は炎天下だった。しまった。日陰など、微塵もない。
車内の温度はすぐに上がる。これでは、体育館の方には行けなかった。
体育館の方で、避難したむね登録し、駐車場に戻ってきた。
予想に反して、人が少ない。車は、ぽつぽつ、まだまだくる。
こんな事なら、もう少し粘っても、全然大丈夫だった。

「噴出物でガラスが割れた車」

島下の友人が到着した。
車の電源に直接携帯がつながっている。なんだか、かっこいい。
でも車は、降灰で真っ黒。
島下から来た車は、その汚れっぷりで一目瞭然だ。
駐車場への坂を上ってくると、「よく来たねー!!」とねぎらいたくなる。

歯医者さん夫婦到着。犬も一緒。
4月に来たばかりの歯医者さん、大変だろう。
奥さんの方は、少し怯えている。
でも、旦那さんの方は、余裕があるので、大丈夫そう。

駐車場から、雄山が見える。
青い空に真っ白な噴煙。なんて美しいのだろう。なんて力強いのだろう。
雲と見分けがつかないときもあるが、またすぐに、噴く。
まるで、生きていることを謳歌しているように。

たまに、灰色になると、ちょっと心配だけど。

灼熱の駐車場に停まった、誰かの4WDのリアウインドウに、誰かが落書き。
噴煙を上げる雄山の漫画が描いてあって、「大ふんか〜!」。
おいおい。ヘナヘナと力が抜けてしまった。
こういうの、テレビには絶対映せないんだろうなぁ。

車にいなくてはならないので、時間つぶしに、ラジオをかける。
災害時にはラジオって、誰が言ったんだろう?
なんの意味もないおしゃべりばかりしか聞こえない。
災害地にラジオ局がないと、意味ないや。

猫たちは、キャリィから出てこようとしなかった。
無理に引っ張り出そうとしても、ダメだった。
グッタリしている風でもないので、放っておくことにする。

暑いせいなのか、眠ってしまった。
姿勢にかなり無理があるのに、2時間熟睡。
目が冷めたら、配給のおにぎりがあった。これ、たぶんツチヤのだ。
鮭と梅干し。なんか、うれしい。青空と山を見ながら、おにぎり。
子供の頃の、夏休みの家族旅行のよう。これで、海も見えれば完璧なんだけど。

夜になったら、1人は体育館で寝て、1人は車内の温度の調整をしながら、
車で寝よう。しかし、相当歩かないと、トイレがないのが問題。
夜間、移動するためには懐中電灯がいる。今度から積んでおこう。

14時過ぎ頃から、どうも噴煙がショボくなる。
絶大な覚悟と裏腹に、16時、我が家の地区は、避難解除になった。
特にひどい降灰で真っ黒な車だけを残して、車がどんどん駐車場から出ていく。
どこかしら、誇らしげで、ダイハード2の最後の場面、飛行機がどんどん滑走路に降りてくる場面に似ている。

買い物がてら、島の反対側に行ったり寄り道をした後戻ると、島下の友人達が、待っていた。
今回も、やはり島下は、避難解除にならなかったのだ。

 


 

(野田理恵)

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