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みゃるの避難日記 三宅島から遠く離れて
三宅島・雄山の噴火で火砕流の被害にあった神着地区にあるペンション、SNAPPERSを (スナッパース)ご主人と経営されている、みゃること野田理恵(のだ りえ)さん。 ペンションが火砕流に直撃されるという予期せぬ災害にあって、その状況を冷静に インターネットで発信し続けたみゃるさんに、雄山での出来事を綴っていただきます。
   

15-2 つかの間の・・・。

 


7日。
主人が、アルバイトをさせてもらっている先の家の建前。
噴火だ、避難だと、なかなか予定通りに仕事がすすまなかった。
建て主さんは、さぞ、気をもんだだろう。

建前、というと、なんといっても、もちまき。
時間になると、わらわら人が集まってくる。みんな手に手にかごや袋を持って。
もちまきの時間は、子供が学校から帰ってきている時間が多い。
だから子供もいっぱい。

屋根に男衆が登って、時間になると、威勢良く、餅やお菓子がまかれる。
多少、部落によって違うのかもしれないが、共通しているのは、築穴製菓の紅白のお餅。どこの家でも、冷凍庫に1袋は入っているかもしれない。

共通していないのは・・・。というか、私は、何回も、もちまきを見たことがあるわけではなく、昔、1度、じっくり見たときに、びっくりした記憶があるだけなのだが・・・。
「まるちゃんの3食焼きそば」と、「魚」。
焼きそばの方は、思わず拾ってしまったのだが、その時、屋根の上で、どう見ても、ナマのカツオらしい魚を投げようとしていたので、逃げてしまった。
本当にあれを投げたのか?
いや、私の目の間違いかもしれないし・・・。

あのとき、いくつかのお餅は、クソまじめに交通整理をしているお巡りさんに
向かって投げられていた。
車なんか来ないんだから、拾えばいいのに・・・。

けれど、大抵、家で留守番の私が楽しみなのは、折り詰め。
それぞれの地区で、多少お料理が違うけれど、
ごちそうが、これでもかというほどあって、華やいだ気分になる。
東京でありがちな出来合の物ではなくて、煮しめにしても、なんでも全部手作り。
普段、自分が作った物ばかり三食食べ続けるので、誰かが作ってくれたごちそうは、この上なくうれしい。

建前以外にも、折り詰めがでることがある。お葬式の時だ。
三宅に来て、はじめてお葬式の時の折り詰めをいただいたとき、「今日って・・・お葬式じゃなかったんだ。変なこと言っちやった!!」と悩んだことがあった。

折り詰めの内容が、巨大な海老フライ、鶏の唐揚げ、刺身、里芋とにんじんと苦竹とこんにゃくの煮しめ、ハムのマリネと一口羊羹。
別箱のご飯は、なんとにぎり寿司・・・。  
結局、本当にお葬式だったのだけれど、東京から来た人間で、島の中に親類がいないので、さほど、お目にかかる機会がない。
でも、その後、ポツリポツリといただいた経験からいうと、
1,巨大海老フライ2本は、全部落共通。
2,ひとくちサイズの甘い物も共通。一口羊羹、ミニどらやき、みかんなど。
3,煮しめも共通。里芋、苦竹、にんじん、こんにゃくが多いけれど、昆布もある。そして、この煮しめは、それぞれ味付け担当者が決まっている。中には、びっくりするほど甘かったり、野菜の切り方が、すごーくダイナミックだったりするけれど、それは、その部落の決まり。
4,真夏でも、刺身がある場合がある。おみやげでもって帰ってきても、けっこう食べて平気。なぜか、あたらない。
5,阿古の煮しめは、すごく美味しい。
6,ご飯は、にぎり寿司、赤飯だったりする。にぎり寿司の場合、びっくりするほどワサビが入っていたことがあったので、注意。食べる前に、一応、ネタをめくってみると安心。ご飯には、他にもバリエーションがあるかも。

これは、お持ち帰り用に、折り詰めしてもらえるものなので、現場では、もっと何かあるのかもしれない。
とりあえず、お葬式とは思えない・・・
東京で考えたら、結婚式もびっくりな、贅沢。
近所の、良く知った人が作ってくれる。
その事が、お金をいくら積んでもできない贅沢で、ご供養なのだと思う。

ましてや、今日は建前、主人は、現場で、とてもかわいがってもらって帰ってきた。家にいる私のことまで、みんな考えてくれて、たくさんのごちそうを持たせてくれた。
  
阿古まで、伊ヶ谷峠を通って、迎え。
主人が世話になっている親方が、キャンプ場の横の歩道を歩いている。
街路樹のヤシの木の葉が揺れている。
親方、ありがとう、みんなありがとう。
幸せな、本当に幸せな、夏の夜。             

 

(野田理恵)

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