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みゃるの避難日記 三宅島から遠く離れて
三宅島・雄山の噴火で火砕流の被害にあった神着地区にあるペンション、SNAPPERSを (スナッパース)ご主人と経営されている、みゃること野田理恵(のだ りえ)さん。 ペンションが火砕流に直撃されるという予期せぬ災害にあって、その状況を冷静に インターネットで発信し続けたみゃるさんに、雄山での出来事を綴っていただきました。

 

1-1.6月26日の夜

 
月曜日の晩でもお客がいる。
この先12月ぐらいまで、平日でも、そんな日が続く。
6月26日月曜日も、お客が4人いた。昨日までの大混雑から一転、常連さんであったこともあり、まるで友達が泊まりにきているような、落ち着いた楽しい雰囲気だった。今思えば、これは大変ラッキーなことだったと思う。
噴火する雄山(撮影:snapper-d

夜8時前。夕食の片づけをはじめようかなーというとき、電話が鳴った。
普段から、仲良くしてもらっているダイビングショップの友達。
「ねえねえ、今、関口宏のフレンドパーク見ていたら、ニュース速報が入って、『三宅島噴火のおそれ』って見たような気がするんだけど・・・。そっち、地震とかある?」
はぁ?そっち、って、同じ部落だし、そんなに場所離れていないんですけど。
「地震なんてないよ。それに家もテレビ見てたけれど、そんなテロップ流れていないし。なんか間違いじゃない?三宅、じゃなくて、宮古とか。」
三宅と宮古の聞き違いは、実際よくあること。
「違う、本当に見たんだってば。」
なんか真剣なので、
「わかった、フレンドパークだったら、TBSだから、これから電話して聞いてみるって。」
いったん電話を切り、テレビの確認。
「ニュース速報なんて見てないよね。」
「?」
TBSに電話して、担当の男性が変わると、「そうですよ。あ、今NHKさんでやっていますよ。」と教えてくれた。
本当らしい。画面には確かに三宅の地図が写っている。
そこではじめて村内放送が入る。「三宅島では、本日〜〜」
あわてて友人に電話を返す。
「テレビ、写っている?本当だったよ、ごめーん。」
「村内放送で、何か入ったら教えて。家、よく聞き取れない。」
「テレビはどう?」
「地上波はちょっと・・・でも大丈夫だと思う。」
友人の家は、電波が弱い。

 


さて、どうしよう。とりあえず、夕飯の片づけはしてしまおう。 お客さんには、荷物をまとめてもらう。で、終わってしまった。どうしよう。 うーーん。まぁ、水でもくむか。 ということで、家中にある水が入りそうな容器を集め、水をくむ。 そのころ電話。某テレビ局から、ネットを使って写真を送って欲しいとのこと。 「写真って言ったって・・・。」 外も雄山も、ふだんと何も変わらない。静かな夜。 「じゃ、しょうがないから、水くんでる写真でも撮ろう。」 お客さんにも参加してもらって、撮影。どうしたって顔が笑ってしまう。 何枚かを送った。「テレビに映るって。」「ひゃー。家族に電話しよ。」  テレビでは、阿古の避難が。続いて伊ヶ谷の避難が。 テレビの放送が、終わって、一呼吸すると村の防災無線が同じ情報を流す。 だから、防災無線はうるさいだけ。その音で、テレビの新しい情報が 聞き取れなくなりそうでイライラする。  送った写真が画面に映った。「これが今の三宅の映像です。」って、それちがいまんがな。家の敷地から一歩も出ていないよ。
しかし、その直後から、ものすごい量の電話。 キャッチホンにしていたので、切る間がない。 ちょっと待て、災害地には電話をかけるな、って、いつも言われているじゃん。 それに、さほどつきあいのない人もけっこういる。なんなんだ?  電話で、マスコミから、「デジカメ写真を」との依頼が殺到。 でも、都道から離れた1軒屋の家で写真を撮っても仕方ない。 さっきの写真だって、没になったはずの、私の写真なんか使っちゃったから、 お見舞いの電話も、笑っちゃっている人が多い。 これ以上、そんなのばっかり送ったら、ふざけてると思われてしまう。  こんな夜に出かけるのを渋る気持ちはわかるが、夫に「行け!」と指令。 水もくみ終わった。家の方は私が何とかする。というか、もう、する事がない。 そうだ、もしかしたら、ここも避難するかもしれないから、冷蔵庫にあるメロンを食べてしまおう。夫はメロンを一気食いして避難所へ出発。 私はお客さんと、同じ事しか言わなくなったテレビを眺めながら優雅にいただいた。
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