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井田喜明会長への質問コーナーにお寄せ頂いた質問(2001/5/18〜23)と回答
 
5月18日から1週間でお寄せ頂いた質問です。回答とともに公開致します。

Q18 このまま火山活動が10年単位で続く「可能性」はありますか?
A 火山の活動がどのくらい続くか、予測する手がかりは非常に少ないので、10年単位 で続く可能性を完全には否定できません。しかし、活動の衰えと解釈できる現象も、すこしづつ見え始めていると思われますから、それが高い可能性で起こるとは思っていません。
 
Q19 三宅島近海、新島、神津島近海の有感地震はまだ続いていますが、海底噴火の可能性はありませんか?
A 有感地震はなかなかなくなりませんが、昨年夏頃の勢いはありません。これは恐らく残り火のような現象なのでしょう。海底地震を起こす力は、もう残っていないと考 えられます。
 
Q20

三宅島の噴火、新島、神津島間の海底での地殻変動は、フィリピン海プレートの動きと関係しているのですか?

A その通りです。フィリピン海プレートは、相模トラフや南海トラフで日本列島の下に沈み込もうとしたり、伊豆半島で日本列島と衝突したりして、複雑な歪を受けています。また、フィリピン海プレートの下には、沈み込んだ太平洋プレートがマグマを供給してきます。歪とマグマの状態を反映して、群発地震が起きたり、噴火が起きたりします。
 
Q21

カタと呼ばれる火山灰が降ったことで分かることはどのようなことですか。

A カタというのは、古い岩石を主体とする火山灰がかたく固まったもので、水蒸気爆発などで発生すると考えられています。1983年の噴火など、今までの多くの噴火では、マグマを起源とする噴出物が主体でしたから、2000年の噴火でカタが出たことは、極めて異例なことでした。同様な噴出物は、2500年前に今回と同じような陥没が起きた時(八丁平カルデラ形成時)にも造られました。この2回の事例は、陥没した古い岩石が、マグマと作用して爆発し、火口から噴出してカタになったことを示しま す。
 
Q22 マグマ上昇があるかどうかの手がかりはどのようにしてとらえるのですか?
A マグマだまりで止まっているマグマに、上昇の能力があるかどうか、現在の技術では判定ができません。しかし、マグマが上昇を始めると、それを捉える方法は色々あります。マグマの移動によって新しい通 路が造られ、地震が起きたり、地殻が押し広げられたりすると、それは地震や地殻変動の観測にかかります。今問題になるのは、むしろ、山頂直下に存在する既存の通 路を上がってくる可能性でしょう。この場合でも、マグマが顕著な上昇を示せば、噴煙の状態変化や、火口の温度変化が捉えられると期待されます。
 
Q23 三宅島の火山ガスの危険性を認識されたのはいつ頃ですか?
A 二酸化硫黄などの有毒ガスが多量に放出されていることは、昨年8月の時点で気づかれていました。しかし、その時点では爆発的な噴火の危険性の方に注意が向いていました。火山ガスが防災上の最重要課題になると認識したのは、9月に入ってからです。
 
Q24 傾斜ステップというのは、なぜ起きるのですか?
A 火口直下の体積が急膨張するのに対応して、昨年7月と8月に傾斜ステップが繰り返されました。何故膨張が起きたかに関しては、地下で小規模な爆発があったとする考えと、崩落物質が一挙に滑り落ちたためとする考えが提案されています。
 
Q25 8月24日火山噴火予知連絡会、伊豆部会の会見後、「お年寄りや子供など災害弱者は、可能ならば避難したほうがいい」と話されましたが、井田教授ご自身の危機感は高かったのではないでしょうか?
A 高い危険性を認識したというより、状況が把握できず、何が起こるか分からない不気味さを感じたという方が、あのときの感じを表現しています。
 
Q26 前回の質問コーナーでのQ2のお答えの中に、「現在は大規模な噴火の可能性はほとんどありませんが・・・」とありますが、どのような根拠があるのでしょうか?
 

(参考)質問コーナーQ2より
第1回の島民集会でも疑問として出したことですが、いまだに避難生活を余儀なくされ、島に戻れない状況にも関わらず、生命・身体にかかわる火山活動が発生した場合 に発表される緊急火山情報がでないのですか?
A:
現在は大規模な噴火の可能性はほとんどありませんが、火山ガスで被災する可能性はあります。こんなときにどんな情報を出すべきか、判断するのは難しいことです。 よほど運が悪くなければ、生命が脅かされることはないでしょうから、緊急火山情報 にはならないでしょう。 そもそも、緊急情報か臨時情報かの区分で、火山の状態を十分に表現し、それを重視して防災対応をとるという仕組みには、無理があります。 火山情報の内容や出し方 について、改善が必要です。

A 火山ガスの放出が安定に続いているということは、マグマの状態が安定していて、爆発の活力を確実に失っていることを意味します。大規模な噴火があるとしたら、その前に状態の変化を示す兆候が何か現れるはずだと考えました。

井田先生からの回答日:2001/5/24
井田喜明火山噴火予知連会長への質問コーナーへ 

 

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