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04/09/09 (木) 19:10 更新
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食中毒の防ぎ方
現在九州の保健所で食品衛生監視員をなさっている西村雅宏さんにご協力いただき、ご自身が発信しているメールマガジン「食中毒の防ぎ方」を当コンテンツでも連載しています。
■食中毒の防ぎ方 vol.10
「カキも被害者です」

 小型球形ウイルス(Small Round Structured Virus:SRSV)は、人の腸管の中しか増殖しません。貝やカキ、食品中では増殖しません。では、どうしてカキが原因と言われるのでしょう。

 秋から冬にかけて子供が下痢をしたり嘔吐して、小児科に行くとウイルス性下痢とか、嘔吐下痢症と診断されることがあります。このウイルスの中にSRSVもあります。このウイルスに感染したした人の便にはたくさんのウイルスを含みます。便として排出され、下水処理、浄化槽等を通って河川、海域と流れ込み、プランクトンと一緒に2枚貝やカキに取り込まれ消化管にたまっていきます。

 特にカキの消化管の中腸腺は、身の内部にあり食べる時に取り出すことができずに、丸ごと生で食べることになります。お店でこのウイルスを排除する方法は加熱するしかありません。

 そのため生食用カキはどこの海で採れたかという採取海域を表示する事が食品衛生法で決められています。安全性を判断する重要な情報です。

 しかしながら、以下の事から、カキの採取海域を表示が信用出来ない事が明らかになりました。

1. 昨年暮れの全国的に散発的に生食用カキによる赤痢食中毒事件が発生した。
2. 日本のマスコミは報道していませんが、当時、韓国では疫痢(赤痢)が1000人規模の流行があっていた。
3. 赤痢食中毒の原因施設と判明した業者の扱ったカキから、赤痢患者と同じDNAの赤痢菌が検出され、韓国で流行している赤痢菌とも一致した。
4. その業者は、韓国産のカキを国産のカキに混ぜて販売していた。
5. 宮城県の調査で、韓国産のカキが国産のカキに多量に混入されていたり、表示を国産と偽装して販売したことが明らかになった。

 フランスでも生カキを食べる習慣があります。生食用のカキは大きな河川の流れ込みのない海域で養殖されており、つぶが小粒だそうです。EUはHACCPが発達しており、HACCPに基づいた方法でカキも養殖、出荷、販売されているそうです。

 せめて生食用については、輸入品を含めて農水産物HACCPを義務づけして、安全な生食用食材を提供して欲しいものです。カキも被害者です。いつまでもカキを悪者にしないでください。

 さて、今年はどうでしょう。需給関係から国産のカキの価格がどうなるのかが1つの判断材料でしょうね。偽装表示が無くなれば、国産のカキは不足するでしょうし、採取海域を韓国と表示された生食用カキが出回るのかどうか、外国産の混入が無ければ国産の生食用カキの価格は高くなるでしょう。

  カキを購入するときは、カキの採取海域に注意してください。昔から三重県はカキの浄化について熱心にとり組んでいます。また、宮城県は知事を先頭に調査を行いカキの偽表示を行った業者を見つけました。今シーズンは安全性が高まったと思います。産地のブランドに頼らず、その地域のとり組み、地形的な条件等を見て選んでください。

 産地では生食用かきを出荷するときに、きれいな海水に一定時間つけてウイルスをはき出させるという方法をしているところもあるそうです。しかし、1月から2月にかけて水温が低下してくると、浄化水槽中のカキの活性が落ちて十分にはき出されずウイルスが残るケースがあります。そのため、1月から2月に生食用カキと推定される食中毒が発生するケースが多いようです。

今シーズンのカキによるSRSVの食中毒傾向はどうなるでしょうか。新聞の小さな食中毒記事を注意しておいてください。冬場の食中毒はほとんどがSRSVですので、この記事が増えてきたら、思い切ってカキの生食は中止した方が良いようです。

次回はSRSVの手からの2次汚染ルートについてかきます

Vol.9 隠される牡蠣の原産国表示を読む

 
西村雅宏(にしむらまさひろ)

食品衛生監視員歴16年。数多くの事例を通して実感するのは、 食中毒の原因のひとつが情報不足による、ということだった。現場から知り得た ノウハウを伝えることで、少しでも食中毒を減らすことができるのではないか、 という思いから食中毒予防に関するメールマガジンを発信している。
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