三宅島噴火によるペットの避難に際し、受け入れの打診と準備を依頼されました。 しかし、私の病院は重篤な疾患の患畜が多く、入院室にまったくの空きがないこと、隔離 病室がないため既に入院している動物の防疫が不徹底になりかねないこと、またペットホ テル業務を行っていないため受け入れ設備がないことを考慮し、残念ながら受け入れをお 断りせざるをえませんでした。こういう病院があるということもご理解いただきたいと思 います。 災害時にはどうしても人間優先になってしまうことは仕方がないとは思いますが、動物が ないがしろにされてしまうことは悲しい事実です。理想論で言えば、動物も家族であるという考え方を、机上や建前だけのものではなく、しっかりと根づいたものにしておくことがまず大切ではないでしょうか。ふだんから動物とヒトの関係を健全なものにしておくことが根底になければ、しっかりとした災害対応は無理でしょう。 具体的には、官を含め、獣医師会や愛護団体、動物関連の企業などで危機管理のマニュア ル、特に初動態勢についての連絡経路や連携方法、対処方法などを準備することが望まし いと思います。 また、飼い主さん側もふだんからそのような場合はどうするかを家族で一 度は話し合っておくことが必要です。 日頃からしっかりと健康管理をしておけばアクシデントにも対応しやすくなります。ふだ んの心遣いがペットの命を左右するのです。ワクチン接種などをしっかりと行っておけば 避難した施設での感染予防や他の動物への疾患の伝染を防ぐことができます。 定期的に健康診断を受ける、しつけをきちんとするなど、飼い主さんとしての最低限のこ とを平常時から行ってください。 万が一のためには、動物用防災グッズを準備しておくと役立ちます。 保存の効くフードや 飲用水、食器、リード、首輪、ケージやキャリーバッグ、鑑札もしくは名札、ぺットシー ツ、タオル、使い捨てカイロ、常備薬や消毒薬程度の救急薬などです。
三宅島から避難してきた犬と猫を私の病院でも預かり、いろいろなことを考えさせられ ました。 世の中いつなにがあるかわからないというのが実感です。 私自身も犬と猫を飼っており、誰に対してもフレンドリーで、言うことがよくわかるマナーをきちんとさせたいと努力しています。それができていないといざというときに受け入れてもらえません。このことは災害時にペットを預かる側になって特に強く感じました。 ただ単にかわいいかわいいとわがままに育てるのは飼い主のエゴでしかありません。
今回の三宅島噴火により東京都の動物保護相談センターに収容された猫たちにはかなりの ストレスがかかったようで、のちに動物病院に移動したものが数多くありました。管理が 行き届く動物病院は確かに最高の収容施設かもしれませんが、それでも避難生活が1ヶ月 以上にもなると、特に猫は自由に行動できないぶんストレスがたまって体調を崩しやすく なります。たとえば毛が抜けたり、嘔吐や下痢が続いたりといった症状を引き起こします。猫の場合は自由に行動できるような環境を作ってあげることでこれらの症状を改善することができます。被災された飼い主さんの生活が大変なのはわかりますが、あえて言わせていただければあまりにも身勝手な飼い主さんがいます。猫の食欲が落ちたことを伝えると「生魚なら食べるのに」と言います。それを買う費用はどうしたらいいのでしょうか。今回の三宅島への対応は私たちはあくまでもボランティアとして行っており、お金はもらっていないのです。何もかもアテにすることが当然のことになったら、こちらもつらいのです。そういうこともわかってほしいと思います。 いちばん気になっているのは、行政が見せかけだけの動きをすることです。ペットを預 かったはいいが動物保護相談センターでは生きるための動物の管理がちゃんとできていま せん。悲しい事実です。シェルターを作ると言っていますが、それもきっと見せかけだけ のものになるかもしれません。これも悲しい事実です。 本当に動物がかわいそうと思ってくれる人は行政の中にはいないのでしょうか? 動物を 好きな人はいないのでしょうか? 疑問に思います。 飼い主さんが避難している場所にいっしょにペットがいられないということは、ペットも 飼い主もお互いにつらいことです。 東京都は三宅島の人のために用意した住居にペットの 同居を認めていません。災害時の特例という考えはないのでしょうか? こういうときに 特例がないということは政治は真っ黒だということです。 いろいろなことを避難している人たちが仲間と話し合い、行政に要望を出すといいと思い ます。みんなが歩み寄る必要があります。