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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さん(現在は、東京大学在勤)に日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2003.12.1 Vol.46
「科学に溺れず自分の目を使った観察」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 

人間の知識はまだ到達点にはいたらないにも関わらず、「科学的」という判断能力に振り回されて大きなミスを犯してしまうことがあります。

例えば今回のロケット打ち上げ失敗にしても、最高な叡智を決算して挑んだ上での失敗には、科学的合理性の落とし穴があったのかもしれないことを示唆してみようかと思います。

僕たち科学者が常に驚かされるノーベル賞などに代表される独創的な研究の多くは、常識の間に忘れられた驚異への扉を見つけることから始まっています。現在の常識や科学の知識では当たり前として、初学者である学生でさえも疑問を差し込まない場所に意外な発見はあります。それらはしばしば、何らかの失敗がきっかけになって始まることはよく知られているわけで、失敗は発明の父でもあるゆえんです。

科学とは裏を返せば、知ったかぶりをしている人間社会の思い込みの世界なのかもしれません。その中で、「科学的エビデンス」と称して、盲目的な判断を下す場合には常識では考えられない事故を引き起こすことがあります。ちなみに、事故の多くは、常識では考えられない場合に起こるトラブルを指しております。

科学研究データ結果のみを鵜呑みにせずに、必ず肉眼で何が目の前で起こりうるかを見極めることは大切です。わずかな、炎の揺らぎなどは、計測器では測り取れませんが、おそらく肉眼では気がついていく現象です。計器のモニターだけを見つめずに、実際の目でじっくりと処置に対し何が起こるかを見ておくことで、気がつかなかった何かを見つけることが初めてできるわけです。

計測器や数値は、第三者へ情報を伝えるためのチャートに過ぎず、そのチャート以上に、自分の中で何が起こりうるのかを現象の観察によって実際に起こっているものを理解できるわけです。

ロケットで、もし何らかのトラブルがあったとすれば、一人の人間の目がきちんと行き届いていないことに原因があると考えます。あくまでも、科学とは計器計測することだけではなく、経験によるセンスが必要なのです。まずは愛でる様に肉眼で見つめることをお勧めします。

 
 
 
竹田@ロードアイランド
竹田 努(東京大学医科学研究所免疫調節分野 研究員)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
平成15年 東京大学医科学研究所免疫調節分野 研究員
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