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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2003.4.4 Vol.39
「重症急性呼吸器症候群(SARS)について」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 

急性肺炎SARS「重症急性呼吸器症候群」が昨年年末ごろから中国広東省方面で広がり始めております。既にニュースなどで情報を手にすることは可能ですので、このコラムでは、一般の方ができる感染予防対策を示します。

まず予想される感染経路ですが、空気感染が予測されています。しかし感染拡大状況を見ますと、空気感染よりももう少し確実に侵入する流れがありそうです。一般には感染症は、空気、水、昆虫、食品、そして少数ですが接触などによって感染が起こります。今回の感染では、同一の建物内で感染が起こっているので、森林に近い地域に散発する「昆虫」と食品流通を周辺に見られる「食品」は除外できます。したがって、疑うべきは空気、水、接触になります。

この空気、水、接触による感染は「カビ」と同じような広がり方をします。つまり、単純に、「カビが生えそうな場所」に感染が起こります。11月から4月のアジア地域は乾燥しているのが通常ですから、本来はカビが生えにくいわけで、カビと肺炎が関係あるとは言えません。ただ一般の皆さんが今生活をしていて、どこに注意すべきかと注意をしたいときには、「ここは雨季(梅雨時)にカビが生えやすい場所だな」と日ごろ思う場所に感染の危険があるので気をつけてください、という意味で捉えてください。

カビの生えやすい場所は、空気が留まりやすく、湿度も適度に保たれやすいために、このような感染ウイルスも停滞しやすくなります。また、服装もまめに洗濯し、直ちに乾燥しなければカビが生えるように、ウイルスも服装にいつまでも付着し、熱乾燥をしなければ安全を保つことはできません。しかし、集団で乾燥機などを使っているような集合住宅にお住まいの場合(日本では会社の寮など)は、乾燥機などや、乾燥室にあるかご等を通じて感染が広がる場合もあります。

カビを生やさないように日ごろの生活を気づかえば、感染は抑えることはできるでしょう。現在テレビなどでマスクをしている人が頻繁に紹介されていますが、マスクなどももちろん長時間の着用は危険になりますので、できるだけ使い捨てで、かつ捨てたものはきちんと封をして捨てるようにしてください。

現時点の様子から見ますと、感染力は強いウイルスですが、他に疾患を持たない人には致死率は低く、症状もあまりひどくなることはありません。また、この感染症は新型と言われていますが、実は今までも存在していたのですが、今まではインフルエンザや「風邪」とまとめて診断されていたものがようやく見つかったということだけなのかもしれません。インフルエンザ治療薬はようやく臨床で実施できるようになり、世界的に昨年は行われておりました。これらの処方の効かなかった肺炎が見つかり、これはなんだろうと専門家の間で騒ぎになったというのが最初の経緯です。

確かに、現時点では感染地区への渡航は避けるべきですし、航空会社、空港、港湾関係者は充分な検査方法と、清潔に保つ手段を考える必要があります。なぜならこのような「新しい」感染症は、どこにでもあるからです。ウイルス学の歴史は100年もなく、その間に発見されたウイルスの数は実際のウイルス数の10%も無いと僕は思います。生活様式が変わり、24時間で世界中にいける時代になり、共産主義国もオープンになって世界観も大きく変わりつつある現在ですから、今まで陰に隠れていた感染症が出没するのは仕方の無いことです。

カビを避けるように生活をしながら、充分に体を清潔に保つようにすれば、このウイルスの流行しにくい季節に変わると思います。頑張っていきましょう。

 
 
 
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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