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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2003.3.3 Vol.37
「ロードアイランドのナイトクラブ火災について2」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 

10日ほど前ですが州内、West Warwickにありますナイトクラブ、The Stationで火災があり、96名の犠牲者を出しました。

当日は300人ほどが学校の体育館半分ほどの広さの会場内に集まっていました。火災が始まってわずか20秒ほどで会場内は真っ黒な煙に覆われているシーンがテレビでも紹介されていました。このナイトクラブのオーナーの一人はテレビ局の記者だったということもあり、偶然かもしくはある程度恣意的にか、火災現場は撮影されていました。

疑問に思っていたのは、300人の内、3分の1に当たる100名近くが亡くなったということです。いくら出口が狭いとはいえ、もう少し避難できてもよかったのではないのかと素人目に思っておりました。しかし、撮影されていたすべての映像を見ておりますと、火災が始まってたちまちのうちにクラブの出口で将棋倒しが起こっている様子が映っていました。出口に人が殺到して押されたときに、転んだという可能性もあるわけなのですが、転んだ上にも人が折り重なっていて、人の重なりが出口いっぱいになっていました。下にいた人は圧死してしまうほどの重なりなのですが、ここまで人が上に登っている状況がわかりかねます。

ホールから出口までの通路はL字型に曲がっており、通路で戻ることも進むこともできない人が亡くなったのだと思われます。

なぜ、通路がL字になっているのか?先日、州内の同様の施設に入り、考えてみました。もし、通路がI字のようになっていて直接ホールから出口までが直線方向で出られたら、脱出経路の状況を把握しやすくなり脱出することはもう少したやすくなります。しかし、こうするとホールの照明音声を行う場所を作ることができなくなりま
す。また、通常営業をするためのお客の出入り制限ができなくなってしまいます。レジや店内に入る手前の待ち席など、入り口からホールまでにはある程度の距離があるほうが、営業はしやすいでしょう。

ならば、非常口をきちんと確保する必要があります。お客が知っている出口は一つだけですから、必ず殺到します。それ以外の出口をきちんとお客に示せる人が必要になります。おそらく日ごろ見慣れた「EXIT(非常口)」の文字が脱出しようとした従業員たちの頭にはきちんと浮かばなかったのだと思います。たとえば日ごろの駅、職場や学校、病院、そして自宅などを思い出して、どこに「非常口」があるのか、そして自分のいる場所から脱出する際にどの非常口に向かえば確実に逃げることができるのかを思い出せる人がどの程度いるでしょうか。

ナイトクラブの火災のあった翌朝、NBCのインタビューに答えていたある女性は、「会場に入ったときに娘たちとどこに非常口があるのかを確認しあった」と話していました。この女性と娘たちは、目の前に出口に向かう人だかりを見たときに、出口を諦め咄嗟に非常口に向かったそうです。逃げ道を確保することの重要性は生存者の中にありました。

 
 
 
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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