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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2002.9.17 Vol.32
「息子にライフジャケットを買う」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 
この間の夏休みに淡路島で釣りをしまして、「全然つれなかったけど楽しかった」経験をしました。

ちょっと昨年釣れたんですが、今年は時間も遅かったので、釣れようがない、まして、サビキではなくて、フナ釣りの針しか持っていなかったので、小鯵がつれるような場所でも、まさか引っかかるはずもない。という感じでした。子供はクラゲを追いかけて遊んでいましたので、エンジョイしたかなという感じです。

昨年の経験で防波堤に立つとよく釣れるという事でポイントは昨年と同じ場所に行きました。ただ、昨年防波堤に立ってみて、結構風も強いし、脚を滑らせるだけで深い海に転落しそうだなという不安がありましたので、子供にライフジャケットを買って首からかけておきました。

彼は「へへ」とうれしそうにしていて、面白かったのですが、まあ、安全を保つためにはこの程度のプロテクションは必要かな?と考えました。

さて、サロマ湖で転覆事故がありました。この事故は釣り船がお客さんを乗せて楽しむ海辺にはよくある遊興です。この中で助かった2名はライフジャケット着用をしていました。問題ははっきりしています。ライフジャケットをつけているかいないか。多くの漁師さんたちは自分の慣れた仕事柄、ライフジャケットをつけて作業することがありません。底曳や延縄のような長いロープなどを垂らす漁では足にロープを絡めてしまって、海に投げ出されることがあるので、時々ジャケットを着ている人もいますが、基本的には日本の漁師さんはジャケットをつけませんね。つけない理由の一つにはジャケットが大変かさ張るので作業しにくいということもあります。新聞にも載らない海への転落事故は毎年全国各地で起こっています。ほとんどが助からないわけです。

今回の事故でもライフジャケットは乗組員がつけていないことが、他のお客さんに装着させる意識を低めた、あるいは装着させることを思い留めさせた可能性があります。ライフジャケットは、命を守るために着るものであり、万が一の事故に備えたものです。当然今生きて作業をしている漁師さんは、海におぼれて死んだことはないわけですから、「死ぬまで気がつかない」という危険性を意識することはできません。

万が一に備えること。特に、このような特殊な作業の場合はプロフェッショナルな人が率先してより安全な手法を素人に見せていくことが大切なのだと感じています。

 
 
 
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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