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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2002.7.08 Vol.31
「大腸菌暴走中」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 

大腸菌が大変なんですね。アメリカじゃO157なんてものはインフルエンザ並みに毎年スーパーマーケットで検出されているような日常の感染症なんですが、今、福岡で暴走中ですね。

大腸菌はしぶとくて多少塩濃度があったほうがホッコリしている奴です。大腸菌ほど微生物学者たちにとってなじみの菌は無いですよ。顕微鏡を走る菌を見て「生物ってすごいよね」なんて感無量になった人は少なくない(はず)です。多少菌を長生きさせるには、氷温(0度)程度で飼ってあげると良いです。メンテナンスは適度な湿気を保ってあげればいいだけなので、皆さんのお家でペット化するのは簡単ですよ。

冷蔵庫は、うじゃうじゃと大腸菌などを含めて元気そうにしてる場所です。冷蔵が食品を守っていると思ったら大変な誤解で、冷蔵庫で僕たちは菌の培養をしてるのだと思ってください。冷凍庫も充分な冷凍は良いですが、冷凍と解凍を何度も繰り返せば、思い出深い瞬間を迎えることになります。解凍によって破壊された食品の細胞からもれる栄養で、菌は暴走して増え、やがて休眠して次ぎ温まるのを待ちます。大腸菌の世代時間(誕生から新しい世代を産むまでの時間)は12分ほどです。解凍に何時間使ってますか?凍結に何時間使ってますか?ワラワラと沢山の最近を培養してません?

O157は明らかにアメリカ由来の輸入感染症なんですが、この菌が入ってきたって事はもっと余計なものも入ってると思ったほうが良いのですね。例を挙げるなら、アメリカのネズミがもつシンノンブレ型ハンタウイルス(致死率40%)の感染症など。まあ、それを心配する前に大腸菌はどんどん増えてます。よく覚えてくださいね。このように増えているのだから、実験で大腸菌に組み換えプラスミドを導入なんかやっている人は、例え先人が「人工的に作ったものは弱いから天然では生き残れない」と教
えてくれても、万が一を考えてオートクレーブなどできっちり処理するべきだってことです。

さて、O157ですが、塩素で基本的には抑えることができます。まな板などの消毒は塩素系の漂白剤にこまめに浸漬することです。腐食性のあるものは70%エタノールでよいでしょうね。食品などは、加熱を充分にするしかありません。しばしば一緒につるんでいる某災害医療センターの最近、髭が生えたお友達は、スーパーレアとステーキを注文していますが、ノンノンです。しかし、ひき肉に関しては特に注意をすべきでしょう。日本の場合はまだまだ簡易水道や井戸水を使う方がいますが、特に井戸に関しては汚染がかなり侵攻してると言う認識は持たないといけません。

これから流しソーメンなんかやる際も、綺麗な山の水で!なんて思うわけですが、充分に注意してください。山の上に家畜なんかを飼ってる場所があるかもしれません。

 
 
 
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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