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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2002.3.13 Vol.27
「身分証明と履歴書」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 

昨年の9月以降、沢山のトラブルがアメリカ国内では起こっていて、たとえば、炭ソ菌の問題もしかり、先日もアカデミー賞会場での食中毒騒ぎがあったりしました。さて4年ほど前1997年12月、ペルーにある大使館占拠事件では、コックなどに混じって、テロリストがVIPのいる会場に登場し、半年間も占拠されつづけるという状況が引き起こされたのは紛れも無く日本大使館の話です。日本は外国からどんな国かと見られているかと言いますと、やはり「金持ちの国」というイメージが強いです。宇宙
から撮影された日本の風景は、他のアジア諸国の暗闇の中に、国土全域がはっきりと分かるほどに、光り輝いています。

料理人を含め会場スタッフの身分証明は大変難しい事があります。会場を管理する上で、大きなイベントをする場合はエキストラにアルバイトを募集する習慣が日本ではあるので、日ごろは見ず知らずの人が紛れ込む事は多々あります。実際にそれが反社会的活動をしている人間や犯罪者が混じっていたことは、過去にフリーターとして生活していた自分の目には見えていました。アルバイトを雇うときに雇用者はありきたりな「履歴書」を提出させ、そこに書かれた、過去の歴史を実際に確認する事もせずに、字の良し悪しを判断する程度で、雇用を決めてしまったりしていることが通常行われています。

今度のワールドカップでも、昔の自分のように学生が大勢アルバイトで参加することになるでしょう。しかし、その中には必ず若者達に混じって何らかの活動家が入り込むことは間違いないです。彼らが実際にやるかやらないかは、彼ら次第ですが、おそらく彼らは馬鹿げた何らかの行動をすることはまず無いだろうと思います。しかし、まず、雇用者はアルバイトといえど、実際に大勢の人間が集まる会場を管理する上では信用できる人間を雇用すべきです。北海道は現在、雇用率が低いために、ワールドカップでは、かなり大勢の失業者対策が行われる可能性があります。ここで雇用される人間は、社会常識では考えられない「典型的」ではない人たちが沢山おります。住所不定無職だからこそ、この仕事を手にしたいという人たちが集まってきます。たとえば「電話はありません」「住所は架空のものです」という人が集まってきます。彼らをもし、雇用から外してしまったら彼らは生きる道がありません。したがって、彼らを雇用するために、会場で働くスタッフにもセキュリティーレベルを作り、スタッフユニフォームやIDがあれば何処でも入れるようにしている、過去のイベント形態は考え直す必要があります。

まず、セキュリティーレベルを高めるためには、被雇用者の提出する履歴書の習慣を大幅に改善する必要性があると思います。
まず、

1.写真は現在の規格よりも大き目のサイズで、カラーであること。
2.生年月日、住所を問う場合は戸籍抄本や住民票も提出させて、証明させる必要があります。
3.学歴を問う場合は最終学歴の卒業証明書を提出させる必要があります。
4.免許資格を問う場合、資格証明書を提出させる必要があります。
5.現在の所属を正式に問う必要があります。またその所属を証明するものが必要です。
6.履歴書には、各項目に「証明する書類有無」を問う個所が必要です。

これらの証明書の有無の数で、まず職種のセキュリティーレベルを篩(ふる)い分ける必要があります。証明書が手に入らなくても雇用の合否を決める必要がありませんが、もし、証明書に偽りや細工がある場合は、雇用から除外するべきです。したがって、各部門では証明書発行に際して、偽造できないようなものを作る必要があります。雇用者は、証明後、履歴書と、その証明書の写しだけをファイルして、原本の証明書類は返還するという手間も必要でしょう。この返還で、被雇用者が実際に受け取る事ができる住所を記載したかどうかを知る事もできます。

証明することは大切であり、特にワールドカップの会場で雇われている人間が危険人物であることは誰も望んではいません。セキュリティーレベルの引き上げを提案します。

なお、3月下旬に、自分も企画等に関わっております「生物毒災害対策へのアプロー
チ」シンポジウムが全国各地で開催されます。ぜひ皆様もご参加ください。

 
 
 
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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