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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2002.1.31 Vol.26
「本物を食べること」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 
雪印の牛肉詰め替え事件がありました。
雪印食品はメインの肉牛取引から撤退する方向に向かっています。
雪印グループの中で経営が割合安定して、新採用も決めていた会社に危機が訪れました。

自分が以前働いていた会社も、11年前のこのくらいの時期に倒産して、採用予定者は路頭に迷いました。
11年前の日本は景気の絶頂期にありましたので、採用取消になった新卒者のために、多くのスタッフは就職口を探してあげていました。
自分達の再就職先を探す必要もあったのですが、若い人たちを路頭に迷わせないようにみんな必死でした。
今は、経済状態が決して良くは無く、企業の経営悪化で、表には見えてこないところで辛い思いをしている人がいることを思います。
非情なことをするのが「社会とはそういう場所だ」と思い込みはじめている日本の国は決してよい方向に向かえる選択をしているとは思えません。

さて、今回事件が起きた直後、「きゅうりうお」を「ししゃも」として販売していた食料品店が摘発されました。
キュウリウオと言うのは北海道南部を中心に春場を中心に河口周辺で取れる魚のことです。
においがキュウリのように青臭いので、キュウリウオと言う名前がついています。
シシャモはキュウリウオの仲間ですので、一見すると似ております。
更に干してしまえば、シシャモと大差はありません。
実は日本で販売されているシシャモはほとんどオランダ産で、シシャモではありません。
これも別の魚なのです。

北海道では、時々観光客を相手に、道内産の毛がにと称して、ロシア語の入った箱から売っている店を見かけます。
箱を詰め替えて販売している場所もあります。もちろん、誠実に販売しているところは決して少なくはありませんが、安売りをしている店では時々このようなことが起きています。
さらにひどい場所では「クリガニ」と呼ばれる毛がによりももう少し小さな蟹を「毛がに」と称して売っていることもあります。

本州でも温泉ホテルで「宿泊のお客様にはイセエビお一人1尾」という売り言葉の商品を売り出している場所がありますが、出てきた海老には「巨大なはさみ」がついている事があります。
これはイセエビではなくロブスターです。

回転寿司でメロウという魚がタイになったり、カジキマグロ、オヒョウになったりしています。
便利な魚であることは確かです。
アラと言う巨大な魚にも味が似ていることで、アラ鍋にも使われることがあります。
北海道で「シマホッケ」と呼ばれているものは、全く違うものだったりするそうです。
見た目に判らないように頭を落としてあるので、シマホッケとして売られていますが、店子は「お客さんは頭食べないだろ」と言って見せます。

自分達が日ごろ食べているものは本物なのでしょうか。
鴨鍋はニワトリだったり、し
し肉は猪ではなくイノブタだったり、わさびはホースラディッシュの色付けしたものだったり、魚肉ソーセージやかまぼこの原料タンパクの50%以上は大豆だったりします。
日本酒は発酵後水で薄めて、アルコールを混ぜたり、ビールも発泡酒に大差ないほど効率の悪い従来の製法はしていません。
外国に行けば本当に日本のビールは工業製品のように品質が一定すぎて、味も薄いと感じます。

本物を食べることは実はものすごく難しいことになっています。それに今まで気がつかなかったわけです。
雪印がやっていたことは、日常の近くのスーパーでも起こりうることです。
あなたが食べているものは、本当に自分の信じているものでしょうか?
にせものの食文化に慣れすぎていて、だんだんどうでも良くなっていた結果が、今目の前で起こっていることなのです。
 
 
 
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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