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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2002.1.12 Vol.23
「個人で守る方法」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 
感染症は小さなばい菌などによって広がります。

小さな細菌類を抑える方法は大きな視点で進めると多額の費用が必要になり、最終的 に国や地方公共団体が下す、「予防に対する支出」は逆走して限りなくゼロになります。
これを「あきらめの逆走」と呼んでみましょう。

あきらめが起こるのは「予防効果が予算に見合わない」という点に出発します。
つまり、あまりにも大きな問題すぎて解決できないとなってしまうわけです。
例えばインフルエンザを見たときに「ワクチンを作っても流行するときはしてしまうし、流行しないときもあるし、ワクチンがマッチしないときもある」ので無駄になってしまうんじゃないのか?と思うわけです。所詮風邪だし、若い連中は多少風邪ひいても大丈夫だし...などと思い始めると「インフルエンザワクチン」に公共の資金が使われるのには「無駄」の烙印が押されてしまいます。

しかし、ワクチネーションの防疫方法はより大勢の人がワクチンをすることによって相乗的な効果をもつわけです。つまり10人のうち9人がワクチンをすれば、残り1名も感染する可能性は低くなります。10名の内1名しかワクチンをしなければ、ワクチンしていないほかのメンバーは高いリスクを背負うことになります。
一種の「ワクチネーションの壁」ができることで、感染率は下がるわけです。
また、学校などの人が集合する場所に関してワクチンをすればより効果が高くなります。

さて、我が家には「富山の薬売り」による薬箱が常備されています。
このシステムは非常に面白いのですが、定期的に富山から人員がきて、薬箱をチェックし、補充した
分だけ料金を支払い、常に一定量の薬品が薬箱に入っていることになります。
やや高価ではありますが、常備薬というのは大変安心感があります。

20世紀に感染症は先に紹介したワクチネーションが開発され、それが一般的になってきました。
しかし、この21世紀では感染症対策は「個人による方法」も開発されるべきでしょう。
特にテロ問題や、輸出入による突然国内に導入しはじめる外来性の感染症対策は、日本の公共システムでは太刀打ちできません。
こうなると各戸で何らかの防疫方法を扉の鍵のような視点で持つ必要があると思います。

一つには、この富山の薬売りのシステム「常備薬」システムを応用する点を紹介します。
また、衛生教育をさらに強化する必要性があるでしょう。皆さんは食事前に石鹸による手洗いを必ず行っているでしょうか?またどの程度頻繁に風呂に入り、どのようにすればより体表についた病原体を払うことが出来るか自信を持って紹介できるでしょうか。
このことをまとめて考えていけば、「家庭に対する衛生教育」につながります。
昔の日本は風呂に入る習慣が無い地域もあり、この教育を明治時代の疫学者の方々は調査と並行して行っていったそうですが、一見、「馬鹿な」と思いますが、案外清潔にするということは出来ていないのではないでしょうか。

21世紀の医学は家庭の中から発信してみるというのも一つのアイディアです。
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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