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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2001.12.10 Vol.20
「赤痢菌」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 
大阪で赤痢が出ています。
子供が感染しているので、推移が心配です。

赤痢が海外から持ち込まれる可能性の高いのは夏です。
赤痢菌(Shigella)は細菌のものをさしますが、他にこの頃話題になるアメーバー赤痢と言うものもあります。

Shigellaの場合は哺乳類の腸管に生息していて、霊長類に入り込んだ場合、腸炎と言う形で発病します。症状は良く知られていますが、48時間後の潜伏の後に、しぶり腹と呼ばれる腹痛になったりします。
典型的には頻繁に粘血性の下痢を起こし、発熱します。
アメーバーのほうは、発熱を伴わないのが特徴的です。

細菌のほうの感染は経口感染がメインですので、食事が汚染されたり水が汚染されている可能性があります。
赤痢菌が世界ではじめて分離されたのは志賀潔博士が行った日本の東京なのですが、今では日本の場合は水等の汚染はなくなり、国内オリジナルの発症はほとんど確認できなくなっています。
したがって、疑うべきは輸入食品なのですが、インド、ネパール、東南アジア、中南米、アフリカが流行地域です。
菌の遺伝型を見れば大体の発症地域がわかるとは思いますが、それによって発症地域の特定、可能性のある食品を見つけてゆけばよいと思います。

大腸菌とほぼ同じような生活環境で、熱にも弱いため、加熱食品に関してはあまり疑う必要はないかもしれません。
気をつけるべきは主に淡水系の魚介類、汚染された水で洗浄した可能性のある食品(フルーツなど)ということになるでしょう。それまでの食材では赤痢が起きていないこと、一度に発症者が出たことから、被害者の一人が感染して持ち込んだものでもなく、また日ごろ食べているものに含まれている可能性も低いと思います。
恐らく、3日ほど前に、「クリスマス会」のようなものをやっているとか、あるいは何か特別な食材を使ったとか、魚介類を使ったという点を注意する必要があるかもしれません。

カキで赤痢が広がったという情報も最初流れていましたが、カキの養殖は「汽水」と呼ばれる地域が適当で、塩濃度の低い海水で飼っていますので、赤痢菌は増える可能性はあるでしょう。あまり塩濃度が高いと成長できないとは思いますが。
そうなると、日本国内オリジナルと言うことになるかもしれませんね。

とにかく注意してみてください。輸入食品だとすると、もっと広がる恐れがあります。
 
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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