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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2001.11.101 Vol.12
「一酸化炭素」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
寒くなってきました。
こちらの気温はカナダの天気で左右されます。
このところ朝晩は氷点下、札幌の友人から先日雪が降ったと連絡を受けましたが、こちらも明日には雪がちらつくでしょう。
この時期になると研究室の暖房が半年振りに蒸気を上げます。
数日ボイラーの工事があったので、今日がその初日です。

ヒーターやストーブはこのニューイングランド地域では欠かせない存在です。
日本と異なっているのは、あまり灯油のストーブをみんなが使いたがらないというところです。
こちらではガス、もしくはボイラーによるヒーティングシステムになります。

使いたがらない大きな理由は安全性です。
これは火事になりやすいか否かという安全性が問題なのではなく、視点は換気にあります。
室内で灯油ストーブを燃やす事で、室内の酸素が減る、二酸化炭素濃度が上がる、不完全燃焼によって有毒な一酸化炭素がでる。
このような理由から、アメリカでは石油ストーブを使用を避ける家が多く見られます。

一酸化炭素は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンに結合しやすいという点で危険だといわれています。
ヘモグロビンとの結合のしやすさは、酸素のそれの200〜300倍ほどで、酸素よりも先にヘモグロビンに結合してしまうために、体の中が酸欠になってしまいます。

一番怖いのは、この酸欠状態が脳に達することです。
脳細胞が生きるために酸素をヘモグロビンから受けているのですが、これが行われなくなって、酸欠で脳細胞が次々と死んでしまいます。
そのため、無味無臭の一酸化炭素中毒で人は眠るように死んでしまうのです。
実際にストーブを炊いていて、頭痛がするほどの状態というのは、かなり危険で、脳内の細胞が叩かれてつぶれているのと同じ状況に近く、そのために頭痛がするというわけです。
大気中に1.28%一酸化炭素が含まれるほどの濃度になると、即死(6〜8分で死ぬ)する可能性もあります。
0.1%ほどの濃度でも既に意識を失います。

一酸化炭素の分子量が酸素よりも低い事から、大気中ではやや上昇する傾向があります。
ただ、大気中に主に含まれる窒素とは同じほどの質量なので、それほど上昇するというほどではありませんが、しばしば、ガス自殺を図ると上の階の人も巻き添えになる可能性があります。
トンネルなどの事故でも、もしトンネルが坂の場合は、熱や、ガスが上昇するので登りの方向に逃げようとする人は、助かりません。
火の手が上がっていても、下に向かって逃げなければ途中で意識を失うことになります。

この頃日本でも外側に排気できるヒーターが主流になってきました。
自立型灯油ストーブにも安全センサーなどがついて、不完全燃焼を避けるようになってきました。
しかし、これから暖房機を動かし始めるシーズン。
しばらく作動していなかったヒーターにはたくさんの埃が貯まっているのではないでしょうか?
作動させる前に一度排気口を確認してみてください。

日本の皆様、冬は暖かくして、風邪を引かないように注意してくださいね。
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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