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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。

■2001.10.21 Vol.11
「熊に遭う」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 
登山には良いシーズンになりました。

今年は熊に遭遇したニュースが多く出ています。
このところ自然保護の視点が大きく変わってきていまして、以前は自然に親しむための必要悪として、登山道などの開発を認めていましたが、このところは登山道は制限され、他地域には入り込まないように厳しく指導されている地域が増えています。

登山道は道を切り開いた時点で、どんどん表面が流出し始め、雨が降るたびに削れるために、夏の登山シーズンが終わることには登山道か小川か分からないような状態になってしまいます。
そのために、流土を防ぐような処置(渡り板の設置など)が施されるようになってきました。

秋は熊が山を下ってまいります。どうして熊の人形はあんなにもかわいいのに本物の熊というのは、動きも速いし、臭いし、でかいし。
熊は北海道では「山親父」と呼ばれていたんですが、最近はそんな呼び名を使う人に会ったことはないです。エゾヒグマはアイヌの神様の一つで山の神キムンカムイです。

熊に遭ったことは皆さんも一度や二度はあるのではないかと思いたいのですが、自分は幾度か見かけたことがあります。
とても距離があったので、それほど怖くなかったのですが、八ヶ岳を歩いていると、50メートルほど先の硫黄岳の谷を右往左往している、数匹の、サル?でかい?熊!!という感じでして、動きがとても想像できないほど速いので猿かと思ったのですが、熊でした。

熊は冬に完全に篭ってしまうわけではないのですが、秋の内に食料をしっかり食べて冬眠に入ります。
熊の好物は、この頃少し嗜好が変わりまして、缶ジュースなんか好きになりました。
北海道のキャンプ場で熊が出没したあと、ごみ箱に熊の荒らした跡が残っていたそうで、缶ジュースの甘味に誘われているようです。
その他、寒くなるに連れて山間部から里のほうに木の実などの餌場が移ってゆきますので、熊の出没情報もだんだん多くなってきます。雪が多少降っていても熊はでます。

熊に遭ったら。。。
これは皆さんご存知だと思います。目をそらさず、間合いを広げてゆく、ということです。
熊は春先は子供を連れているので気が立ってますし、秋口もイライラしています。
あまり近くでばったり会ってしまうと襲われることはあります。
彼等は足が速く、藪の中でも時速30キロ以上で動きます。
山に入るときは音を出すようなものを持つことは大切ですが、もし目の前に熊にあっても、大きな音を出さないようにしてください。

それでも熊に襲われたら。。。
立ち向かうなということです。とにかく地面のくぼみに入り込んで、首を手で隠しながらうつぶせになるのだそうです。(日本ツキノワグマ研究所HPより)うーん、熊に襲われたくないですね。

熊に遭いたくなければ、山の中の沼地、湖、川のそばでキャンプを張らないように。
地元の情報を精確に入手して、危険を事前に避けるような計画を立てて山に入ってください。
ごみなどを山に残さないことです。キャンプ場のごみ箱は設置しなければ、多くの人がごみを埋めていくそうですが、そういう行為が熊の出没を促しています。

ごみは持ち帰ってください。

熊スプレーを持つ人がいますが、それは本当に勘違いでして、そんなものを山の中で使ったら、風向きで自分にもかかってしまって、目が開けられなくなります。
これは4〜5メートル先までしか飛ばないですし、数秒間しか使えません。
この距離感になったら到底無傷では済みません。
熊撃退スプレーを持って山に入らなければならないような事情をじっくり考え、山のマナーを守れそうに無いなら、山へ遊びに行かないことです。
自分は調査で山に入ることが多かったため、登山道以外に入り込んでいかなくてはならなかったのですが、基本的には音を立てることによって熊を避けるようにしていました。

熊はどこにでもいます。東京都内の山にもいると思います。
北海道ではブラウンベア、エゾヒグマUrsus arctos。本州ではブラックベア、ツキノワグマUrsus thibetanus。
その他熊の種類があり、日本の各地に生息しています。
巨大な熊が住んでいるなんて考えると、本当に日本というのはいい国だよなと思います。
どうか、ヒグマ、ツキノワグマは希少動物だということを忘れずに、「山親父」には遠慮しながら山にお入りくださいね。
 

 

 

竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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