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身近な危機管理
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
■2001.10.16 Vol.9-1
「生物毒に対する初動の取り組み」
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 

細菌やウイルスは基本的に宿主というものが存在することによって増えることが出来たり、自然界の中で維持されます。
生物兵器で拡散された病原体の行方を考えると病原体を研究するものとしては、微生物達があまりにも惨めな扱いを受けていることに切なくなります。
微生物の多くは宿を見つけるとそこでホッとして、仲間を増やし始めます。
多くの研究者はウイルスは生物ではないと規定していますが、それは重要なことではありません。
そもそも生物というものが前世紀に狭い範囲内に規定されてしまったために、ウイルスの存在が漏れてしまっただけなのです。
この小さな生命体は、宿の中で増えつづけ、そして新しい宿を見つけて旅をします。
これが「感染」と呼ばれる現象です。この旅は過酷なもので、太陽の日差しの下で生き残ることも出来ない弱いもの達は、雑然とした乾燥の空気の中で生命を失ってゆきます。
こんな生命体を、利己的な意志の下で撒き散らされ、何が起こっているのか知らず増えることだけを必死に続ける状況、これがバイオテロによる犯罪です。

私達住民や関係者が、専門的な器具を持ちえずにこれに遭遇してしまったら、どうしたらよいのでしょう。
感染兵器の利点は、感染を広げること、あるいは広げることを知らしめて恐怖を与えることにあります。
多くの評論家はこの話に言及しますが、実は感染兵器の欠点があります。
それは付着した瞬間に洗い落とせてしまうということ、症状が出るまでに少し時間があるということです。
これは化学兵器や核兵器に比べて欠点なんです。
更にウイルスや細菌は大きなタンパク質と呼ばれる物質で構成されているために破壊されやすいのです。
卵をお酢と混ぜながらかき混ぜるとクリーム色になって、固まってきます。
卵はタンパク質で、お酢によってそのタンパク質を破壊されたために、固まっていくのです。
これをマヨネーズと呼びますが、今はマヨネーズの作り方を説明しません。
あるいは卵をゆでますと固まります。
タンパク質はつまり、「酸やアルカリ」、「熱」なんかにとても弱いです。
アルコールに入れても固まってしまいます。
従って消毒薬はアルコールを成分にしているものがありますね。

もし私達が何か得体の知れない感染症に出会ったとき、私達が真っ先やることは洗い流すことです。

水道水は塩素を含んでいます。
この次亜塩素酸は人間に害のない程度に含有されていますが、微生物には大変な毒になります。
この水道水で手を洗うことは非常に大きなプロテクション(防御)になります。
最低20秒間の流水に手をさらすことで、かなりの微生物は死んでしまいます。
更には、石鹸を使ってください。
石鹸は除菌のものもありますが、そうでなくても手の上の脂に隠れようとする微生物を洗いだしてくれます。
その上、微生物の多くの表面は脂のような性質があるので、石鹸によってこの表面が破壊されます。

(9-2へ続く)

 

竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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