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身近な危機管理
私たちの身の回りには無数の危機があります。危機に直面した時、被害を回避したり最小限にくい止めるためには、日頃の適切な備えが必要です。このコーナーでは、そんなひとりひとりの危機管理を考えていきます。

■道端からの提案 2002.1.17 Vol.24
「阪神大震災から7年」

アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんに日々の危機管理についてコラムを書いていただいています。
 
阪神大震災から7年です。

当時自分は何をしていたかというと山梨のリゾートホテルの厨房で板前の見習をしていまして、丁度それを辞めて、札幌の大学院博士課程に入学すべく入試に向かうため、寝台特急北斗星に乗っていました。特急は途中、福島、そして青森で大雪に会い、2時間近く遅れていました。

「えらい事になってるそうやな」ロビー車の中に関西弁の声が響いていて、何かが起こっていることを聞いていました。
地震で死者が出ているらしいという事だけは分かりましたが、三陸沖地震など過去に自分の人生の中で記憶にある地震では多少の家屋倒壊による数名の死者というイメージしかありませんでした。
地震に強い国だから。大きな地震は東京にはくるだろうけど。

札幌に到着して、寮にいる後輩達の後姿を見かけました。
彼らはテレビにくぎ付けになり、そして、テレビに映る風景は火災の風景でした。

「えらい事になっているんですよ」
知ってる。地震だろ。
「何千人死んでしまったか分からないんです」
何千人?千?倒壊した高速道路、複数火の手が上がる住宅密集地帯。
「電話つながらへん」顔を真っ青にした後輩が困惑していました。
「飛行機飛ぶんやったら、帰ります。」その後入学し、寮に入ってきた後輩達の何人かは被災者で、開口一番「バイトないっすかね」と話していました。

覚えていますか。7年前。
大きな地震があった日のことを。
道路が寸断されて、救出に向かう事が難しいとテレビは叫ぶように伝えていた日のことを。

世界中の人が、あの日その町の名前を知りました。
わずかその数年前にユニバーシアードが開催された場所。
ポートピアのパビリオンに夢を馳せて行列を我慢した思い出。
神戸。
その神戸を先日歩いたとき、町並みの風景が何事も無かったかのように日常の日差しの中にあり、不思議な感情をもちました。
兵庫県に住んでいたころ、神戸や明石にはしばしば出かけたことがあり、愛着のある場所です。
明石天文台は自分の科学への興味を持ち始めた出発点と呼んでも良い場所ですし、生まれて初めて地球を本当にイメージした場所です。
災害がこの町を襲うとは思いもよりませんでしたし、研究者は時折、いくつかの危険地域を指摘していましたが、まさか瀬戸内のこの町が破壊されるとは思いもよりませんでした。
人々に愛されている六甲山脈は人の動きを封じ込めてしまい、救出を遅らせました。

今、日本の各地を訪問する機会を時折持っている中で、多くの町が「防災に強い町」を掲げているのにもかかわらず、やはり大変な住宅密集地が存在しています。
東京、大阪はもとより、新興住宅を建てている郊外まで、間隔無く家が立ち並んでいます。
倒壊した家が道路を塞げば、タイヤの車輪はそれを乗り越える事ができなくなり、救出は難しくなります。
いざとなって自衛隊が動いたとしても、自衛隊が現場に到着するのにどれだけの時間が使われるでしょうか。

7年。
建築基準などが、より地震対策に重点を置かれましたが古い家屋はそのままになり、公園などの整備も進んでいません。
公共施設は「多目的ホール」などを利用して、避難所を立ち上げることになるのでしょうが、当面の食料や水、そして、風呂など衛生設備はどのようにまかなっていけば良いでしょうか。
また各個人では、自宅が崩壊したとき、近くに駐車している車を非常食の食品庫として使えるように車載できる食品などの備蓄システムなど考えても良いと思います。
竹田@ロードアイランド
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
平成7年 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境学専攻博士課程(博士学位取得)
平成10年 Center for Vector-borne Disease,University of Rhode Island 博士研究員
平成12年 同 アルボウイルス研究主任
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