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先日、山梨県高根町で毒キノコの騒ぎがありました。
国立電波天文台のある長野県野辺山から、日本のアメフトの父で、立教大学の総長であったポールラッシュの清泉寮がある山梨県清里の八ヶ岳周辺は、きのこの種類が日本国内で最も多いと言われています。
1994年の1年間このそばの大泉村と言うところにある会員制リゾートホテルの和食厨房で八寸場をやっていたのが当時の自分です。
八寸とはお盆の大きさを示していまして、つまり、お客さんに出す懐石のお盆に盛り付けをするという役割です。お客さんに最初に見えるところなので見習が最初に「和食とはなにか」を学ぶには格好の場所になります。
盛り付けには長い鉄箸を使い、それは先が針のようにとがっております。
盛り付けに細工をするときに、通常の箸では先が丸くなっているために材料がつかめないのです。
温かいものは、温かく、冷たいものは冷たく出していくというのは基本ですが、顔を見ることが無いお客さんとの出会いは一期一会であり、その季節季節で提供する八寸も一期一会です。
自分がお世話になった福岡出身の吉村料理長は若いときにはかなりおお暴れしていたようですが、今はこよなく自然を愛する美しき中年であります。
彼とは毎晩のように夜中遅くまで飲んで語らいましたが、自分にとっては良い経験でした。
厨房は朝は5時6時から動き、夜は10時ごろまで働いています。
その代わりお昼には時間がたくさんあったので、その時間を使って甲府などで買ってきた科学専門誌を読み漁ったりしておりましたが、ほとんどの時間は外に出て野花やきのこを採りに行っておりました。
野花は八寸を飾るものとして、あるいは時に山菜として探しました。
お客さんが尋ねることが多いので、花の名前を調べておく必要もありました。当時までの専門がタンパク質関係でしたので、全く植物は知りません。
そこで大きな図鑑を籠に入れて背負い名前を調べては籠に入れていきました。
7月のおわりから8月になると、梅雨明けを過ぎた湿度の高い森の中にはきのこが生え始めます。
特に早い時期には「ハナイクチ」地元ではジコボウあるいは北海道ではラクヨウと呼ばれる吸い物に良いきのこが出てきます。イクチ科は傘の裏がスポンジのようになっていますので見分けがつきやすく、また毒きのこがほとんどないとされています。
その時期を過ぎるとタマゴダケやカラカサタケが出てきます。
タマゴタケはてんぷらにしても良し、焼き物でも良しという、大変味の良いものですが、見た目は
全く「ベニテングダケ」でして、違いは傘に白い斑点があるかないかが特徴的です。
あるものはベニテングダケ、ないものはタマゴダケです。ベニテングダケはいわゆるマジックマッシュともいわれていますが、幻覚などは程遠く、吐いたり二日酔いをひどくさせるような症状になり、毒きのこになっています。
この見分ける「白い斑点」は雨が降ると落ちてしまうので、気をつけなければなりません。
同じ時期に森の中に神秘的に白く生えているので最も怖いのが「ドクツルタケ」です。これを食べるとコレラ様の脱水症状になり、ひどい場合は死にます。
秋口になると、クリタケが出てきますが、これにそっくりなのが「ニガクリタケ」でこれもひどい下痢になります。
今回騒がれたきのこは「イッポンシメジ(クサウラベニタケ)」です。
これは他のシメジと似ています。
まず、一口食べてみると苦味がややあります。食べきると、後で激しい下痢と嘔吐に襲われます。数日間はひどい目にあいます。
日本のきのこの種類は5000程度で、毒キノコはわずかそのうちの50種類ほどしかありません。
しかし、実は毒キノコではないけど食用でもないと言うのがほとんどでして、もしきのこ狩りをするのでしたら、確実に知っていて自信のあるものだけを取るように薦めて下さい。
また、今回食中毒が出た「きのこ汁」は多数のきのこが入ります。
もし、毒の物が混じりますと、汁全体が毒汁になってしまいます。
自信がないけど食べてみようと思わないことです。
てんぷらにすれば可能性としてはだいぶ毒は消えるとは思います。
自分の料理長にどうやってきのこを覚えるのかと聞きますと、「自分で食べて毒か食用か覚えるのが一番早い」と言っておりました。自分の口がイッポンシメジとであったことがあるかについての詳細は避けますが、様々なきのこの味は知っております。
毒キノコの種類によって毒の種類は異なってきますので、患者を見かけた場合はきのこを持ってこさせて、きのこの同定を早めにする必要はあります。
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