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02/02/19 (火) 15:48 更新
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身近な危機管理
私たちの身の回りには無数の危機があります。危機に直面した時、被害を回避したり最小限にくい止めるためには、日頃の適切な備えが必要です。このコーナーでは、そんなひとりひとりの危機管理を考えていきます。
■食中毒の防ぎ方 vol.7
「なぜ冬場に食中毒が多いのか?」
現在九州の保健所で食品衛生監視員をなさっている西村雅宏(にしむらまさひろ)さんにご協力いただき、ご自身が発信しているメールマガジン「食中毒の防ぎ方」を、"身近な危機管理"でも連載することになりました。
今回は、最近とても多い冬場の食中毒について公衆衛生メーリングリストに投稿されていた文章を掲載させて頂きました。
熊本の保育園の餅つきと同じ時期に福岡市では警察学校の食堂でSRSV食中毒が発生しました。

地元の新聞では熊本の餅つき、熊本の別件の食中毒、警察学校と並んで掲載されたこともあり、マスコミ各社から「なぜ冬場に食中毒が多いのか?」と質問を受けました。

確かに本市では、昨年位から7,8,9月と比較的静かな事が多く、10月からにぎやかになり、12月後半から2月にかけて生カキと推定されるSRSV食中毒が頻発します。
「食中毒は夏だ」という常識が崩れかけています。

以前、3大食中毒は、腸炎ビブリオ・黄色ブドウ球菌・サルモネラと言っていました。
この3つの細菌性食中毒が全体の70〜80%を占めていたからです。この3つの食中毒は、気温の高い夏場によく発生していました。
しかし、ここ数年福岡市ではこの3つの食中毒の発生が激減しています。

3大食中毒は、防ぐ方法を知れば飲食店の努力で防止できます。
O157、昨年の雪印事件と大きな事件が続き、飲食店での食品衛生への取り組みがしっかりしてきている成果が現れてきているものと思っています。

逆に増えてきている食中毒は、SRSV・キャンピロバクター・O157です。
この3つの食中毒を私は、『グルメ系食中毒』と呼んでいます。
原因食となりやすいのが、生カキ・とり刺し・牛の生肝生肉でグルメなお客が注文する事が多いからです。

魚の刺身は良く真水で洗い、刺身専用のまな板、包丁、ふきんで2次汚染のないように、冷蔵庫に保存しておけば、大丈夫です。安全にする手段が飲食店にあります。
しかし、グルメ系の生食は、安全にする手段が飲食店にありません。
仕入れた食材が汚染されていたらアウトです。加熱するか、生食をやめるかです。
客もリスクが高いことを承知して注文してください。

それと、とり刺し、牛の生肝は、子供には絶対食べさせないでください。リスクが高すぎます。
命をかけて食べる程の物ではないと思います。

SRSVはカキなどの2枚貝の中にこのウイルスが蓄積されていて、それを生、又は不十分な加熱調理でヒトが食べると、ヒトの腸管内で増殖し発症します。
しかし、原因食材が特定できない場合もあります。
また、感染した人が調理すると手指を介して、食品を汚染する場合もあります。
その他、ヒトとヒトの直接接触によって感染する場合や、嘔吐物も感染源となります。

11月や12月は保育園等で、ウイルス性の嘔吐下痢症が良く発生します。
このウイルスにSRSVもあり、食品が絡まない感染症という形で発生します。人のお腹で増えたウイルスは河川から海に出て、プランクトンと一緒に2枚貝、牡蠣の中腸腺というところに貯まります。

生食用カキは、産地で殺菌海水に付けてウイルスを吐き出させて出荷していますが、年が明けて水温が下がってくると、カキの活動力が落ちてSRSVが残り、食中毒が発生すると言われています。

つまり、今の時期の地上での嘔吐下痢症の流行具合がカキに影響します。
年により、生カキと推定されるSRSV食中毒の発生状況はことなります。
昨シーズンは多発しました。
それで毎週、ウイルス検出状況・グラフ(感染症情報センター)を見ています。

今のところ昨年、一昨年程の発生は無く、大丈夫かもしれません。

警察学校は、原因食品の判明はしていませんが、発生の時期が集中していて単一暴露で、共通する感染原因となるものが寮の食事だけですのでSRSV食中毒としました。
生カキ、2枚貝はなく、調理人さんの手からの2次汚染と推定されました。

また、海外渡航歴のない方に赤痢が散発的に発生しています。集団発生ではないようですので、ディフューズアウトブレイク(散発的集団発生)の食中毒かもしれません。

生食には注意して、手洗いしましょう。

食中毒かな?と思った場合
  食中毒症状が出たとき、すぐ直前の食事を疑い、飲食店に言ってトラブル事があります。
食中毒菌には潜伏期間と主症状があります。
一応の目安として、下痢が主の時は食べてお腹で増殖して症状が出るまで8時間以上かかります。
嘔吐の時は毒を産生する黄色ブドウ球菌、セレウスで、30分から3時間前の食事を疑います。
ただし、昨今の嘔吐は、ウイルス性のものが多く、判定が難しくなっています。
SRSV(小型球形ウイルス)は24時間かかり原因施設の調査範囲を広げる必要があります。
 私達は症状、喫食調査である程度食中毒菌を推定し、原因施設を絞っていきます。
このように、症状の原因は、体調不良から、食品由来でない感染症、食中毒とあり、嘔吐下痢=食中毒ではありません。
そのため、検便をお願いし病因物質を見つけます。
次に、原因施設、原因食品と調査をつづけます。

食中毒かなと思われた時は、勝手に判断せずに、保健所に相談されたほうがよろしいです。
   
   
   
西村雅宏(にしむらまさひろ)
食品衛生監視員歴16年。数多くの事例を通して実感するのは、 食中毒の原因のひとつが情報不足による、ということだった。現場から知り得た ノウハウを伝えることで、少しでも食中毒を減らすことができるのではないか、 という思いから食中毒予防に関するメールマガジンを発信している。

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