02/11/20 (水) 21:51 更新
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私たちの身の回りには無数の危機があります。危機に直面した時、被害を回避したり最小限にくい止めるためには、日頃の適切な備えが必要です。このコーナーでは、そんなひとりひとりの危機管理を考えていきます。
■Vol.6-2. 鳥から蚊、そしてヒトへ感染
「ウエストナイルウイルスとは?」
ニューヨークの近くに位置するロードアイランド州では日本から1人の先生が、この「ウエストナイルウイルス」を研究していらっしゃいます。
ロードアイランド大学媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任の竹田先生です。
これまでの見解と今後の対策について伺いました。
アメリカでのウエストナイルウイルスについて
ウエストナイルウイルスの調査をはじめて、既に3年目になるわけですが、既に
CDC
(連邦疫病管理予防センター=Centers for Disease Control and Prevention)の報告にもありますように、ウエストナイルウイルスの汚染地域は、東海岸からアメリカ南部全域に渡ろうとしています。
1999年の段階ではわずかにニューヨーク州のニューヨーク市内だけという限られた範囲内での感染症に過ぎなかったものが、3年の月日でここまで拡大してしまったことは驚きであります。
死亡した鳥の解剖の様子
このことを踏まえて考えますと、新興感染症
(*1)
や再興感染症
(*2)
は初期の段階で適切な処置ができたとしても防ぎきる事が可能なのかどうか疑問にさえ思います。
現に1999年の8月の段階でウエストナイルウイルスとして認識されていなかった時期にもニューヨーク市内では殺虫剤散布が行われており、早い対処がなされていたといえましょう。
にもかかわらず、ウイルスの侵攻を押さえられなかったのは一つには都市の複雑な構造、たとえば地下鉄など、に蚊が隠れうる場所が多く、また自然界に飛び立った蚊を100%抑える事などそもそも不可能だということなのです。
殺虫剤の効果
殺虫剤の効果は、蚊の全体数を下げ、人との接触の回数を減らすことで感染の機会を減らす効果があるとは考えますが、完全に防疫する目的には合致しません。
もし防疫をするとするならば、輸入に際するコンテナー内や旅客機内の完全な殺虫が行われれば、防ぎきれたかもしれません。
先進国の責任
新興性感染症の広がりは、当初は水に落とすインクのようなものなのです。
落としてしまう前にすくい取れなければ、次々に広がって一度見えなくなってしまいます。
幸運な事に、ウエストナイルウイルスはこれらの教訓を伝えるには適度な危険性のウイルスで、発病しても致死率9%という取り立てて怖い部類の感染症ではありません。
しかし、怖い感染症ではなかったら大丈夫ということではなく、今回の教訓から「ポストウエストナイル(ウエストナイル後)の感染症」に対して注意を払っていかなくてはなりません。
ウエストナイルウイルスの汚染は現在も着実に広がっています。
間違いなく南アメリカに向かっているに違いありません。
何百万ドルもの予算を費やして調査できる合衆国とは異なり、南アメリカの諸国ではこの先、患者が出るまでその侵攻を確認できなくなる恐れがあります。
こうなると、先進国である合衆国が撒いた問題によって、他国が影響を受けるわけですから、責任の問題になると思われます。
日本へのメッセージ
現地から日本国に警告したいのは、日本はアジアの先進国として、同様な感染症の広がりを引き起こす引き金にならぬように、自国の利益だけでなく他国の安全を考慮に入れて責任ある防疫システムを更に詳細に立ち上げる必要があると考えます。
また万が一感染症が広がってしまった場合、迅速に汚染地域を特定し、適切な処置を講じる心構えが必要でしょう。
アメリカの失敗は、「ウエストナイルを持っている蚊は越冬できない」という甘い観測を抱いたところにありました。
感染症は必ず広がる方向に進みます。
それを念頭に被害を最小限に食い止める最良の方法を即時的に勇断をもって決行しなければなりません。
ウエス トナイルウイルスに
感染したサルの細胞
(*1)
新興感染症:かつて知られていなかった新しく認識された感染症で局地的、 あるいは国際的に公衆衛生上問題となる感染症のこと
(病原性大腸菌O-157やウシ海綿状脳症など)
(*2)
再興感染症:既知の感染症ですでに公衆衛生上問題とならない程度にまで 患者数が減少していた感染症のうち、再び流行しはじめ患者数が増加したもの
(結核、サルモネラやコレラなど)
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<関連リンク>
【NIH-NET :West Nile Virus (西ナイルウイルス) 】
http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/WNVhomepage/WN.html
【国立感染症研究所 感染症情報センター】
http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
【海外渡航者のための感染症情報】
http://www.forth.go.jp/tourist/topics/p2002/p125.html
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