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02/11/20 (水) 22:16 更新
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身近な危機管理
私たちの身の回りには無数の危機があります。危機に直面した時、被害を回避したり最小限にくい止めるためには、日頃の適切な備えが必要です。このコーナーでは、そんなひとりひとりの危機管理を考えていきます。
 
■Vol.4. 災害による心の傷とストレス反応
尊い生命を奪い、街を破壊し、生活を崩壊させる大災害は、私たちの心にも重篤な 被害を及ぼします。災害という社会的な危機は、個人の心理的危機でもあるのです。 では、災害を体験した心はどんな傷を受け、その傷によって心や身体には何が起こっ てくるのでしょうか。
   
   
無力感、悲嘆、そして環境の激変…。心の深層に刻まれる傷。
   
  誰阪神淡路大震災では、多くの人が地震に対して「なすすべがなかった」という無力感を体験したと言います。普段の自分が持っている対処能力を超えた衝撃。それによって、心は無力感というダメージを受けます。人智を超えた自然の脅威に対する人間としての無力感もあれば、家族を守れなかったという自責を伴う無力感もあるでしょう。そして、肉親を亡くしたり、家や財産、大切な思い出の品など、その人にとってかけがえのない何かを失うという、喪失体験にも直面させられます。失ったものに対する悲哀、苦悩、怒り、切望などの思いが入り混じった、深い悲嘆の感情が起こってきます。
一方では、余りの強烈なショックに茫然自失して、無感動の状態、感情を喪失したような状態になってしまうこともあります。一見落ち着いているとか冷静に見えても 、内実は決してそうではないのです。

さらに、日常生活の混乱や避難所での生活など、環境が急激に変化することも被災者の心身を痛めつけます。家を失った人々にとっての避難所は、長期にわたって生活するには不十分な施設でしかないし、家族の崩壊は人々、特に幼い子供に大きな心理的悪影響を及ぼします。それまでとは全く違った生活環境や人間関係を余儀無くされることは、私たちが考える以上に強いストレスとなり、とりわけ心の抵抗力がまだ低く繊細な子供達にとって、そのダメージは深刻です。

こうしたストレス下におかれた生体は、自らを防衛するためにさまざまな反応をします。それが私たちの心身の変調や症状となって表れてくるわけです。
   
   
不安、不眠、フラッシュバック…。初期の変調は自然なストレス反応。
   
  災害後によく見られる反応として強い不安があり、災害時の体験が突如蘇ってくるフラッシュバックや恐ろしい記憶を伴う場合もあります。繰り返し見る悪夢や、パニックのような発作となって表れることもあります。また、災害時の体験を思い出させるあらゆる刺激がこのような感情の引き金になるため、そうした刺激を避けたり感情をシャットアウトする回避反応や、他人との付き合いを避けて引きこもるなどの反応 も表れてきます。眠れない、すぐに目が覚めるなどの睡眠障害や、怒りっぽい、集中できない、わずかなことにも過敏に反応するといった変調を体験する人もいます。時には、子供に対する過保護や家庭内暴力といった家庭内の葛藤として表れることもあります。

しかし、これらの様な心身の変調は、被災体験などによって傷ついた人なら誰もが示す可能性のある、ごく自然な心の反応でもあります。被災直後は多くの人がこうした体験をし、通常は数週間ほどで収束していきます。が、反応が高いレベルで数週間以上続いた場合には、PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス 障害)となり、長期化します。5、6カ月もしくはそれ以上にわたる潜伏期を経て症状が表れたり、数年にわたってその状態が持続するケースもあるのです。     
   
   
心のケアは、まず、情報に接し人と話すことから。
   
  心身の変調をなるべく早く軽減させて、PTSDの発生を予防するためには、初期の心理的ケアが大変重要です。医師や臨床心理士などの専門家による治療やカウンセリングが有効なのは言うまでもありません。が、心のケアの第一歩は、被災者自身が正しい情報を得ることから始められます。まずは、災害後のストレス反応などについて基本的な事柄を理解し、ごく自然な反応であることを認識すると共に、ストレスへの対処法を知ることが大切です。情報に接することで、今自分が置かれた状況の意味を理解し、ストレスとも上手く付き合っていくことができるようになるのです。
また、話す、会話するということも治療的に働きます。言葉にすることによって自己コントロールができ、感情を吐き出すことも可能となり、何度も語ることで悲惨な体験は中和され統合されていきます。
そして、何にも増して「人と人の絆」こそが傷ついた心を癒してくれることを、過去の大震災は教えてくれました。
 
 
<関連コラム>
【知っ得レスキュー:FM西東京連携企画・インタビューVol.3】
「災害時、傷ついた心を癒すのは共同体だ!」
 
<参考サイト>
【子どもたちのPTSD】
http://www.kobe-np.co.jp/sinsai/sannen/ptsd.html
【神経症・心身症PTSDを背負った子供たちへの援助】
http://homepage1.nifty.com/gatagoto/1BanHome/ne/1banhom021.html
【PTSD−心的外傷後ストレス障害に関する新聞記事】
http://www.page.sannet.ne.jp/ynozaki/Earthquake/Ptsd0.html
   
  <参考書籍>
・『こころの科学65 大震災とこころのケア』 河野博臣編 日本評論社  
・『災害のもたらす心理社会的影響』
(精神保健の研究と訓練のためのWHO指定 協力センター)長崎大学精神神経科学教室 中根、大塚訳  
・『新版 災害と日本人巨大地震の社会心理』 廣井脩著 時事通信社
   
 

<注意事項>  
この文章は、コピーライター:大和田瑞穂が上記の書籍やサイトを参考に、一般の方にご理解いただきやすいようにまとめたものです。十分注意はしておりますが、専門性の欠如や勉強不足などによって不正確な記述が生じる場合もあるかと思います。そのような点にお気づきになられた方は、当サイト宛にご指摘、ご 指導いただければ幸いです。

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