「一歩目が奥手」なあなたへ。 10.04.13 12:12
編集委員のnabebuさんの友人がAEDで人を救ったときの話。
「この感動を分かってくれるのは、nabebuさんしかいないと思って!」 知人が興奮した様子で、いきなり電話してきた。何に感動したか分からないが、こちらは仕事が忙しいし、半ば迷惑に思いながら黙って話を聞いてみる。 「人を救ったんですよ! だから、AEDを使って人を助けたんですよ!」 そのまま聞き進めると彼の話の詳細はこうだ。
彼は40代のサラリーマン。いつも電車で通勤している。
駅のホームに降りたら、目の前でゆっくりと人が倒れこんだ。
倒れたのは60代の男性。誰も声をかける様子がなかったので「大丈夫ですか!」と声をかけ、周りの人に、救急車の手配とAED持ってくるように頼んだ。呼吸を確認。心肺停止状態と判断し、気道確保、心臓マッサージを3回繰り返しても反応がなかったので、AEDを使った。駅員も到着。
その頃、周りには数十人の人だかりができていたが、直接救命をしているのは自分ひとり。これは緊張した。蘇生して呼吸が戻り、救急隊員が到着してから引き渡した。
心停止している人を救ったのはこれが初めて、感動したが、やったことがちょっと特殊なことだけにこれをすぐに分かってくれる人は誰だろう?と思った時、危機管理情報の会社にいる筆者(=私)の顔が思い浮かんだ。彼ならこの感動を分かってくれるだろうと…。
で、そんなことを知っているはずもない、私の電話が鳴ったわけです。
出ると「この感動を分かってくれるのは、nabebuさんしかいないと思って!」
…って、おい!何の話だ?と。
ひととおり話を聞き終わった後、私は一言。彼にこう言ったんです。
「お前はもう死んでいい。(笑)」
この言葉は大変乱暴だし、この会話の内容を知らない周りはその時、随分驚いたでしょうが、私としては「人間ひとり救えば、人類の生命の受け渡しとしてはある意味全うしたのではないか」という意味で「お前、死んでいいよ。」と言ったんです。「人を救いたい」と思って10年ほど仕事してきたけど、私自身はいまだ実際に人の命をそういうかたちで救った経験はない。
ところで、彼の話を聞いていて、気になったことがある。人を救うときの最初の一歩が踏み出せない人が多いこと。心停止にこそ出くわしたことはないが、交通事故や、満員電車で女性が貧血で倒れるなど救助したことは何度かある。その時、それが起こった直後、周りが遠慮する感じがする。
変に手を出してはいけないとか、触らないほうがいいとか、頭を動かさないほうがいいとか…とにかく誰も手を出さないで遠慮するタイミングが直後にある。災害対応は「お上」のもの、交通事故は警察と救急のもの_という感覚だろうか?
一方で周りはみんなやさしい。電車で女性が倒れた時も、「席を空けてあげてくれますか?」と言うと、その周辺全員が空ける(そんなに空けなくてもいいのに(笑))。交通事故でも交通整理してとか、救急車呼んでって頼むとやってくれる。とにかく一歩目が奥手。一歩出ればみんなそれに協力する。
救命講習で習う決まり文句を思い出した。
「あなた!119番してください。」「あなた!AEDを探してください。」
大切なのは「あなた!」と指をさす役に、自らがまわる「第一歩」なのかもしれない。
wrote by nabebu.
※写真はイメージです。本文とは直接関係ありません。
















