道端からの提案『ムクドリの暴走』
春になりました。今年は久しぶりに地域によっては積雪が多かった冬ですが、いかがお過ごしでしょうか。こんな雪の多い年は、雪に食べ物が埋もれてしまうために、野生動物にとっては過酷な環境になります。
我が家の畑にも1月末頃からムクドリの大群が飛来するようになり、冬の間に食べようと育てていたほうれん草やキャベツ、ブロッコリーは全滅させられました。あえて人間の育てる作物にまで手を出してくるムクドリたちにとっては、生き残るための熾烈なチャレンジなのかもしれません。
ムクドリは元々昆虫などを食べてくれる益鳥と認識されていましたが、果樹被害が出始めると、害鳥として扱われはじめました。人間の都合で益にも害にもなるのは仕方がないにしても、50〜100羽ほどの群れで大挙してこられると恐怖を感じるものです。糞を道路や庭先などにされると、なにか病原体を投げ込まれているような気分になり、嫌悪感もあります。
では、ムクドリがオウム病の原因になるクラミジアやインフルエンザなどの感染症を持ち込む可能性はあるのでしょうか。もちろんこのような個別の野生動物への調査で病原体が発見されたことはないです。病原体の発見は、最初に感染被害から見つかります。したがって、適当にムクドリなどを捕獲して検査しても、陽性になることは非常に難しいのです。ただ、これらの感染症を持てない理由はありません。充分に感染症を運ぶ可能性はあります。時々、「野生動物が病原体に感染してしまうと、生活環境が過酷なため生き残れないので、生きている野生動物はほとんど無菌的だ」という誤解した話を耳にします。人獣共通感染症は、基本的に野生動物の中で貯蔵されています。
ただし、感染症は常に流行しているわけではありません。人の間で風邪がはやる時とはやらない時があるように、野生動物の間でも流行している時と流行していない時はあるはずです。したがって、流行しているときに近づかなければよいわけで、常に嫌悪する必要はないのです。また、感染したムクドリなどの糞がいつまでも感染力を維持することはあり得ません。つまり、よほど生々しい糞をつけられない限り、感染におびえる必要はないのです。故に、湿った糞を拭い取る時だけは、除染できるティッシュ(70%アルコールや10%程度に薄めたアルカリ漂白剤などの湿布)で拭き取ることで、感染する可能性を抑えることはできます。洗濯する場合は、ほかの洗濯物とは分けてできるだけ迅速に洗濯してしまうことで、除染できます。
しかしながら、野生動物との接点が常に、病原体との接点であるわけではありません。野生動物が存在することで、人類がまた地球上の生物の一群として暮らせることを前提とし、もう少し野生動物への正しい理解を深め、歩み寄っても良いのではないでしょうか。駆除することにばかり対策を考えず、むしろ、もう少し野生動物に遠慮して生活していくことも必要でしょう。
wrote by Tsutomu Takeda
※写真はイメージです。本文とは直接関係ありません。


















