ウイルス性の家畜伝染病 09.09.18 16:20
「口蹄疫について」
公衆衛生ネットワークは、保健所職員を中心として始まった公衆衛生と健康危機管理の向上のための情報交換会です。災害、結核、感染症、食中毒、公衆衛生、産業・環境保健等 に関する情報交換メーリングリスト(ML)を運営しています。
今回は、そのML上で話題になっている「口蹄疫」について取り上げます。
最近では、2009年2月に台湾で豚が、中国では1月から断続的に牛が口蹄疫に感染していることが確認されています。
以下は、口蹄疫の解りやすい説明として、「竹田@ロードアイランド大」さんよりいただいた投稿を再編集したものです。
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口蹄疫は、人には感染しないといわれています。エンベロープのないウイルスなんです。ごく小さいウイルスで、人間の1個の細胞を東京ドームだとすると、このウイルスはゴルフボールぐらいの大きさに相当します。
ウイルスというものは、一般的には宿主のレセプター(受け入れ:鍵穴)とウイルスの周辺に飛び出したビスのような構造の部分(導入:鍵)が一致しないと感染が起きないとされています。ウイルスが細胞内に入り込むのは、至難の業なんです。これを「宿主特異性」といいます。一般的に、ウイルスは、一部の臓器を好んだり、血液細胞を好んだりしますよね。例えば、脳炎ウイルスが脳細胞神経細胞を好むように。これもひとつの「宿主特異性」なんです。これが人間と動物でも起こっているので、このウイルスは人には感染しないんですね。そもそも、"動物"と言ってしまうから、"え?人間も動物でしょう?"と思うのですが、ここでの動物とは、偶蹄類動物ということなんですよね。
このウイルスに関しては、中和からやや高いpH(pH7~9)では安定し、中和から低い、つまり酸性域環境では、あっという間に失活します。同じ実験をウエストナイルでもやった事がありますけど、やっぱり同じようなことが起こります。酸性域で は、ウイルスの表面構造が不可逆的な(取り返しのつかない)変化を起こすんですよ。特に、鍵の部分が変な形になってしまうので、宿主には感染しなくなるんですね。でも遺伝子は残ります。ウエストナイルで検査してみたんですが、弱いRNAウイルスにもかかわらず拾えましたよ。口蹄疫でも同じだと思います。
口蹄疫といっても色々なウイルスの型があります。中にはワクチネーションに成功したものもあるようですが、大騒ぎになるものに関しては、まだワクチンができていません。正確には、ワクチンを作るのが大変難しいということです。
有効なのは、消毒です。空気感染する恐れのあるものでも、消毒はかなり効果的。ウイルスの感染には、それなりの「量」が必要です。したがって、空気中に飛び回るものよりも、排泄物への注意が特に必要でしょう。排泄物の中にウイルスはどんどん出てきますから、それを踏みつけた靴や車のタイヤなどの「溝」を洗浄する必要があります。幸運なことに、消毒がよく効きますので、2、3回踏む程度でも、かなり感染可能なウイルス量は減るでしょう。もっと踏んで欲しいところですけど...。物流で流れ出すのを抑えることも、いい考えだと思われます。
また、死んだ家畜やその周辺の家畜を焼却するのも、防疫効果が高いと思われます。この病気では、実は豚がネックでして、豚に入り込むと、発病しないのにウイルスがどんどん排泄されるという状態になります。
誤解しないでほしいのは、空気感染もしばしば起こっているという点です。ただ、排泄物による感染の方がとても高い可能性を持っているというだけです。牧場ではかなり排泄物の処理を頑張っていますが、やはり多くの牧場では排泄物は牧舎の横に積み上げられている事が多く、「完全な」プロテクションが行われているとはいえません。
海外からの情報を逐次受け止め、輸入業者、旅行者など各人が国内に"感染の可能性"を持ち込まないように努力するのが最良でしょう。牧場経営者は長時間の労働の中で、正月もなく働きながら家畜を育てておりますので、この感染症が日本に再び広がる事は、大変な失望と悲劇を産み落とします。 ぜひ皆様のご協力とご理解をお願いしたします。
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感染症別情報「口蹄疫」(厚生労働省検疫所)
口蹄疫を防ぐ6つのポイント(web site 信州)
※このコラムは、2000~2003年頃の「rescuenow.net」に掲載された記事中のデータ等を2009年9月現在のものに更新して再掲載したものです。












