ブログ

重症急性呼吸器症候群(SARS)について(2)

03.04.23  この記事をGoogle Bookmarksに登録する この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事を含むlivedoorクリップ この記事をイザ!ブックマークに登録する この記事をニフティクリップに登録する この記事をdel.icio.usに登録する この記事を含むはてなブックマーク


アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんによる、日々の危機管理についてのコラムです。

**********************************

「ウイルスの感染経路は主に接触感染。その症状とは?」

 SARSウイルスについて、現在アメリカの国際空港入国審査手前で検疫官がCDCからのインフォメーションを出しています。これには「最低限7日間のモニターを自分ですること。もし、高熱やせき等、呼吸障害などが感じられる場合は担当医に連絡すること」というような内容のものが書かれています。

 SARSウイルスはコロナウイルスで、このコロナウイルスというのは一般には通常の風邪の症状を人、家畜で引き起こすウイルス種でして、空気感染はまず起こらず、感染経路は主には接触感染です。SARSウイルスも当初、空気感染が疑われましたが、空気感染よりも接触感染が主経路と考えるべきでしょう。接触感染の場合は、マスク着用以上に注意すべきは汚染された手で食事を摂ったり口元、鼻元を触ったりすることが危険になります。

1.航空機を利用すると機内サービスで手洗い無しで食事を取ってしまうことがありますが、必ず食事前には手洗いを行い、混雑が予想される場合は消毒用のウエットティッシュを用いて手、指先を充分洗浄することが重要です。この際、抗生物質を使ったものはウイルスですので役立ちませんので、消毒はアルコール成分の入ったものを用いると良いです。SARSウイルスは70%アルコールの通常の消毒で殺菌できます。
2.旅行後はできるだけ早く服装を充分な洗剤を用いて洗濯し、下着類で漂白剤を入れることができるものは特に漂白剤を利用することをお勧めします。旅先で汚れた服等は、ジップロックできる袋に入れると良いでしょう。
3.シャワーや風呂には到着後すぐに浴びるように心がけ、到着先を汚染してしまわないようにしましょう。
4.マスクは中途半端につけたりはずしたりすると効果があるどころかかえって危険になります。人ごみに長時間入るときだけ、短期間マスクをし、一度はずしたマスクは再度利用しないようにしましょう。(マスクはこのウイルスでは必要ないです)

次の症状が感染した恐れのある症状です。

1.38度以上の発熱が急激に起こった時。(発熱では悪寒を伴いますので、悪寒を感じたときは熱を測ってみてください)
2.上記の発熱前後にせきが出はじめた時。

これらの症状を出したときは、

1.直ちにマスクを着用。
2.医療機関に一報してください。
3.日本国内の場合は119、アメリカの場合は911で対応を待ちます。
4.周囲の方は、当人の糞、尿、汗、唾液などにウイルスが含まれてくるので、汚れたシーツなどは直接素手で触らず、できることなら手袋をして取り扱い、充分な5%ブリーチを入れた洗浄液で他人のものとは分けて洗浄してください。

一報後医療関係者はSARSと疑われる患者になるのか、一般の風邪に関する検査を行います。

1.抗生物質を服用し、それによって回復に進むかをみます。
2.一定のインフルエンザなどの検査を行います。

 上記で快方に向かわない場合は、SARS疑症例として特別な医療管理下におかれます。80%ほどの場合は対症療法で快方に向かいます。現時点ではいくつかの治療方法が試みられていて、SARSを発症していても4%から5%が亡くなっておりますが、90%以上の方が回復しております。ただし、ご高齢の方、何らかの疾患をお持ちの方は危険になりやすいので、そのような方は感染が広く知られている地域へのご旅行はしばらく見合わせるべきです。

 SARSウイルス予防は、何よりも「こまめな石鹸を使った手洗い」がとても効果的です。うがいを含めて何を始める前にも、まず人ごみから離れたり、食事をする前には石鹸で手洗いをしてください。

 ご存知のように、世界中にはSARSだけでなく様々な感染症があります。旅行をする前に、一度そのような情報を成田空港検疫所や国立感染症研究所、CDCなどで確認されてから計画されることが大切です。ワクチンには最低1ヶ月前から準備が必要ですから、必要なワクチン接種なども早めにリストアップしておく必要があります。特に、森林や沼、湿原やマングローブなどの自然を楽しむ旅行などの際は充分な準備をして、より安全で楽しい旅行を心がけるべきです。

2003.4.23
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)

※この記事は、2000~2004年頃の「rescuenow.net」に掲載されたものを再掲載したものであり、筆者の所属や登場する団体名等は、このコラムの執筆当時のものです。

ページの先頭へ