ワールドカップ終了
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんによる、日々の危機管理についてのコラムです。
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「ネットワークを用いたシステムの向上」
アメリカでも12時間ほど遅れで、abcによるワールドカップ放映がありました。
圧倒的にブラジルの動きがいいなと思ってみてました。アナウンサーも「ようやく中立な場所での試合が行われている」というようなことを言っていましたが、日本人がこんなにも他国のチームへ応援を真剣にできるっていうのはすごいもんだなとつくづく思いましたよ。ソルトレークオリンピックも今ひとつ他国への尊敬心が無いような応援が多かったので、今回は試合終了後、感動して、涙ぽろぽろ流していたら、あっという間にアメリカ国内のゴルフトーナメントに切り替わっちゃいました。さすがアメリカですね。
さて、今回のワールドカップはさまざまな課題がありました。もっとも嫌われている国との共同開催だったことでどうなるんだろう?と思っていました。さらに今までの常識では想像できない警備の問題、その上、昨年のアメリカでのテロを踏まえたテロ対策。会場設置のトラブル、キャンプ地誘致のトラブル、山のような課題があったと思います。これから、開催地になった巨大な競技場はどうするんだろう?と思ったりしていますが、一番気になる札幌ドームは日本ハムがホームグランドにするようですし、ひとまずは高額のメンテナンス費用を市民が負担し続けるのかなあとは心配しつつ、まあ一歩使い道ができてよかったのではないかと思っています。
警備関係など、今回で多くの分野が実はかなりバージョンアップしました。ネットワークを用いた警備システムや、医療関係のサポートシステム。特殊な感染症や化学物質への検出システムなど、システムは驚くほど向上してきました。これからの課題は、このシステムは永遠に使えるものではないという認識を持つことです。常に向上心を持って改善していかなければ、何年か後には、「ワールドカップ時代の時代遅れのシステムを用いた」とマスコミに叩かれたりする日も来るのでしょう。
システムの大切なポイントは、キットなどの更新よりも何よりも、原理をきちんと理解している検査官を育てるということです。原理を理解しないで、機械を動かすだけの場合、万が一にトラブルを生じた場合に、トラブルシューティングが遅れてしまうことがあります。人を育てるというのは気が遠くなり、引退する人などを含め、毎年毎年同じことの繰り返しをし続けなくてはならないという無駄だらけなのですが、この地味な作業が日本の将来を育てていくことになります。
日本は人を育てることを忘れてしまっているところがあります。あのバブル時代初期までは学校教育は教育することに大きな目的を持っていましたが、バブル後期は教育を見失っています。しかし、バブル期はまだまだ「研修」というものを作って人を育てていましたが、景気が悪くなるとともに研修さえしなくなり、口がうまい若者が「即戦力」という名前に履き違えられて採用されるようになりました。プロフェッショナルな意地とか、理想とか、誇りが無くなってしまっているのは、東京の大学病院での事件のなかでも見受けられます。
これから私たちはプロ(職人)を育てる社会を建設していかなくてはなりません。
ワールドカップが終わり、私たちの新しい一日が始まります。
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
※この記事は、2000~2004年頃の「rescuenow.net」に掲載されたものを再掲載したものであり、筆者の所属や登場する団体名等は、このコラムの執筆当時のものです。














