[こだわり商品レポート] アルファ米 02.05.14 18:37
第二次世界大戦時、「潜水艦のなかで食べられるご飯」として研究され、干飯(ほしい)をヒントにアルファ米をつくったのが始まりです。
「アルファ米」を販売されている尾西食品株式会社の谷米さんと伊藤さんにお話を伺いました。
[SHOP RESCUE・藤田/以下SR]
まず、アルファ米の歴史を教えて下さい。
[尾西食品様/以下敬称略]
そもそもは、第2次世界大戦以前に当時の海軍潜水艦乗組員だった尾西食品の先代の社長が、「潜水艦の中でご飯は食べられないか?」と考え、日本に古くからある干飯(ほしい)*1をヒントにご飯をアルファ化しアルファ米をつくったのが始まりです。
当時、ドイツの化学者が研究していた小麦などに含まれるデンプンのアルファ化技術をお米に応用し、はじめて製品化したのが尾西食品(当時:尾西食品研究所)だったのです。
[SR]
アルファ米とはそもそもどういったものなのですか?
[尾西食品]米の主成分である澱粉は生の状態で食すると食味も悪く、また消化しにくく体にとってあまりいい状態とは言えません。その状態のデンプンをベータ・デンプンと称します。
普通、私たちはお米を食べる場合、炊飯するなど火にかけてから食べますが、デンプンに火をとおすことでベータ・デンプンは食味の良い、消化し易いアルファ・デンプンと称す状態に変化します。したがって、私たちはアルファ化したお米を毎日食べているわけです。
ただ、このアルファ化したデンプンは冷えた場所に放置しておくと、また、元のベータ型に戻る特徴を持っています。例えば、皆さんも残ったご飯を冷蔵庫に入れて置くことがあると思いますが、それを再び温めて召し上がることと思います。デンプンの状態で
申しますとアルファ化したデンプンが冷やされてベータ化し再加熱されたことで再びアルファ化したということです。ですから、アルファ米とはデンプンの状態がアルファ澱粉のままに、乾燥させたものを呼んでます。
簡単に言えば、一度炊いたご飯を成分そのままに、熱風で乾かしたものですね。このアルファ米は、水またはお湯を加えるだけで、普通のご飯に戻りおいしく召し上がっていただけます。
ちなみに、通常のご飯の水分量は約65%ですが、アルファ米はその水分量を10%程
度までカットしてあります。[SR]
フリーズドライや無菌米飯、レトルトとは違うのですか?調理法の特徴や味など教えて頂けますか?
[尾西食品]
フリーズドライは、食品を凍らし真空下で乾燥させる方法です。この方法で乾燥させたご飯は、どうしても歯ごたえが消えてしまい、ご飯の大切な食感がなくなってしまいます。
無菌米飯は、名前の通り、無菌化した工場で炊きたてのご飯を1食分ずつ容器に詰め直し、密封してつくったものです。常温保存でも6ヶ月間(冷暗所なら8ヶ月まで)程度でしたらおいしく食べられますが、保存期間が短いので非常食には向いていません。
レトルトパックはご飯をアルミ等でできたパックに入れて密封し、殺菌処理のため120℃以上に加圧加熱し菌を殺したもののことです。
*1
[干飯(ほしい)]
その昔、武士が戦に携帯したご飯のこと。
ノウハウはどこにも負けないものだと自負しています。
[SR]
現在販売されているアルファ米について教えてください。
[尾西食品]昭和30年に特許を所得し、先代が残した物を使って何か新しいものをはじめようということで、終戦後、軍糧食から非常用保存食として官公庁・自治体へ、高地登山者への山岳携行食に広く使われるようになりました。
現在では、宮内庁をはじめとする中央官庁や全国の自治体、病院、学校や企業の防災用の備蓄食糧として、またアウトドアレジャーやハイキング、海外旅行用の携帯食料として広くご利用いただけるようになりました。
商品化した当初はアタック食(登山家用)として2食分が一つにまとまった商品を作っていましたが、普段から召し上がっていただけるように、食べきりサイズのものをご用意しました。これが今、ショップレスキューで販売しているものです。スプーンを付け、袋の形も浅く器になるように工夫して、食器がなくても、そのままパッケージから食べられるようにしました。また、袋の中にお湯を入れても倒れないように、袋の下を丸くカットするなどの工夫もしてます。
それとやっぱり味ですね。1種類だと飽きてしまいますから、ご飯の中に入れる具を工
夫して、5種類の味をお出ししています。長期保存ということを考えると、なかなか使える具材がないのが悩みどころです。
[SR]
なるほど。では、アルファ米の製造過程を教えていただけますか。
[尾西食品]
まず、ご家庭で召し上がるご飯同様に炊きあげた後、温風を用いてご飯の水分量を10%程度まで徐々に乾燥させていきます。
次に塊になって乾燥されたご飯を篩(ふるい)にかけ、粒を整えて出来上がりです。
かなりの時間がかかりますが、ご家庭でもドライヤーのようなもので炊きたてご飯を乾燥させれば、誰でもアルファ米を作ることが出来ます。
ただし、ご飯をむらなく乾燥させることは容易なことでありませんので時間に余裕のある方だけお試しください(笑)
美味しいアルファ米をつくるには、なんといっても、まずおいしいご飯が必要です。ご飯を炊いて乾かすと、たいていは粘りが出過ぎてしまいます。「水分量はどれくらいが適量だろうか」「お米を炊く時の温度は何度がいいか?」「お米はどの品種がいいか?」「お米を乾燥させる時の熱風のあてかたはどれがいいか?」様々な試行錯誤を重ねて改良を重ねてきました。
このノウハウはどこにも負けないものだと自負しています。
[SR]
アルファ米を美味しく食べる秘訣はありますか?
[尾西食品]
ご家庭で召し上がる場合には、インスタントラーメンの作り方と同じように、火にかけて作っていただくと、美味しく召し上がっていただけます。
まず、通常アルファ米を作るのに必要な水の量として、うるち米なら160ml、もち米なら110mlを基準としてプラス10ml程度多く鍋に注ぎます。袋の中から添付のスプーンと酸化防止剤を取り除いたアルファ米も鍋に移し、火にかけます。
ぐつぐつと沸騰してきましたら火を止めて、かるく掻き回した後しばらく蒸らしますと艶々ほかほかのご飯が炊きあがります。だいたい10分間ぐらいで出来上がりますよ。
通常通り作っていただく場合には、とにかく熱いお湯をご用意下さい。
熱いお湯を注いで、口をしっかりと閉めていただくと、美味しくできあがります。
今現在、アルファ米の種類は全部で5種類ですが、今後はあと2種類位足していろいろな味でバリエーションをつけ、さらに美味しくしていきたいです。
あとお湯を入れてから、ご飯ができるまでの時間を是非とも短縮したいですね。
[SR]
本日はありがとうございました。
これからもおいしいアルファ米を楽しみにしています。
(取材日:2002年5月14 日)
※この記事は、2000~2004年頃の「SHOPRESCUE」に掲載されたものを再掲載したものであり、筆者の所属や登場する団体名等は、このコラムの執筆当時のものです。












