外来性寄生虫症
アメリカのロードアイランド大学でウイルスについて研究をされている竹田さんによる、日々の危機管理についてのコラムです。
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「外来性の寄生虫を防ぐには」
クリプトスポリジウムが見つかりました。淡路島の高校生が北海道でスキー旅行に出かけて集団食中毒という状態です。
クリプトスポリジウムは欧米では水道水で見つかった例があります。クリプトスポリジウムは多少の塩素添加でも生存が可能な原虫であり、ろ過しない限り水道水に紛れ込む恐れがあります。今回、修学旅行生のみの発症でしたので、水道水である可能性はきわめて低いです。もし、修学旅行生が北海道のエキノコクスの常識を教わることなく、生水を飲んで感染していたとすれば、今回のクリプトスポリジウム症は幸運な教訓だったかもしれません。北海道では、利尻、礼文島でミンクの日本軍の毛皮のために養殖をはじめたのがきっかけで、このエキノコクスは大陸から邦内に持ち込まれました。
現在は、北海道だけでなく、東北、北関東地方も汚染地域だという認識を持つべきです。エキノコクスやクリプトスポリジウムは野生動物などが保有する寄生虫ですが、日本の従来の解決方法は、保有動物のコントロール、つまり駆除に焦点をあてています。
しかし、考えれば、野生動物にとってこれらの寄生虫は人間が持ち込んだ新興感染症であり、そのために野生動物を駆除するというのは割が合いませんし、決定的な解決にはつながらないでしょう。なぜならば、野生動物は希少種になれば保護される運命にあります。希少種の中で永遠に病原体が供給されつづければ、いよいよもって人間はその病気と付き合っていかなくてはならなくなります。そこで、このような外来性の寄生虫をいかに取り除いていくかという点にターゲットをおくべきでしょう。また、外来性の感染症をどのように防ぐかという点でも、私達は注意していかなくてはなりません。
まず、どのように寄生虫を野生動物から取り除いていくかですが、寄生虫が入ってきた経路を利用して、寄生虫を破壊する要因を撒く方法が考えられます。寄生虫症の場合はワクチンや抗生物質が効きませんので、寄生虫を破壊するウイルスなどを見つける方法などが考えられます。従来、寄生虫などは日本のように地理的に隔離されていなくても地域に局在するものです。その局在せざる得なかった理由を探すことによって、寄生虫を追いやることはできるはずです。これがウイルスやあるいは動物種にある免疫系の差異など、何らかの「天敵」の存在ではないかと思います。これを見つけ出す事が最初の一歩でしょう。
さて、輸入感染症をどのように防ぐかという点ですが、現在の検疫システムは、検疫を対象にしているたとえば「イヌ」ならイヌ自体を見ますが、たとえばイヌの体表に付着する細菌や虫、あるいは運搬ケージに紛れ込むものには注目が置かれていません。したがって、一歩間違えると、検疫所内の係留期間に感染症が蔓延してしまう恐れもあります。このことから、検疫所はスペースに限りがありますが、係留運搬検査はより隔離された方法で行うべきでしょう。更には、動物体表の洗浄消毒などの行程も必要になると思います。これでも決して完璧ではありませんが、現在の方法を常に改良していかなくてはならないのだという意識を持ち、改良を実際に導入するまでの過程をより短期間にできるよう効率化を図るべきです。
日本のシステムの悪さは、良くて上半期、下半期、悪いと3年後の実現という、対応タイムラグが大きすぎることです。平安京ならまだしも、秒単位で変化する現代ではそれは許されません。
竹田 努(Rhode Island 媒介性疾病センター アルボウイルス研究主任)
※この記事は、2000~2004年頃の「rescuenow.net」に掲載されたものを再掲載したものであり、筆者の所属や登場する団体名等は、このコラムの執筆当時のものです。














