安全・防災コラム

大地震に遭ったら 01.10.05 10:42


「通れる道は限られる」

 神戸市東灘区にお住まいの味岡さんは、阪神大震災で震度6の地震を経験し、徒歩通勤をされました。

●そこから感じた災害時の教訓とは?
 交通が全面不通になり、私は持病があるため、自宅のある「六甲アイランド」から会社のある「西宮」まではさすがに歩くことができず、休暇を取りました。しかし、10日ばかり過ぎて「青木」まで阪神電車が開通すると、そうも言ってられないと思い、徒歩でしばらく通勤しました。その時の経験から、災害時の教訓を下記に紹介します。

・災害時は、歩く経路が非常に限定される!
 震度6にもなると、倒壊家屋が多数となり、通れない場所が多数出ます。従って、高架でない鉄道軌道敷も歩行路になります。
・鉄道軌道敷を歩く場合、大規模地震の時以外は架線に注意!
 崩壊箇所が沢山ある内は、電車が走って来る恐れがないので、一般道路と比べて車の来ない良い歩行路になります。しかしながら、鉄橋などは通れませんし、通らない方が良いので、その条件の下ということになります。

 また、一般道路は、以下に述べる理由により、土地観のある地元の人以外は、車の走っている幹線道路をやむを得ず歩くしかない状況が多々あります。
 私も当時、一般車両が集中している夜間の国道43号線を歩くことがありました。その際は、懐中電灯を車の方に振りながら歩くのです。(国道43号線はしばしばマスコミに登場する、高架部分の阪神高速が倒壊した道)そんな危険な道を歩く理由は、もちろん「倒壊家屋多数で歩行不可能」ということなのですが、当時の経験からいうと、次のような所が通行不可能になります。

■2車線以下の道路
 2階以上の家屋(木造、鉄筋も含む)が倒壊すると、1車線の場合はほぼ100%通行不可能になり、2車線の場合でも釘等が出た材木等がばらまかれますので、底に鉄板等が入っている特殊な靴でしか歩けなくなります。一般的な靴では、通行不可能です。
 ただし、道の両側が耐震建築の場合や1車線の場合でも直径にして20cm位の街路樹が植わっている場合は、倒壊がそこで止まっている場合も多く、通行可能です。

■2車線以下の幅の歩道
 家屋が耐震建築でなければ、倒壊で道は塞がれます。同様に、1車線幅の歩道では、車道もほぼ1車線すべてが塞がれます。 (端に1m位残る場合もあり)
 例えば、1車線幅の歩道+2車線+1車線幅の歩道で、両側が耐震建築でない場合は、真ん中を通る場所があればラッキーということです。もちろん、車は通行不可能です。(この場合、倒壊方向の違いから、1車線幅くらいの復旧にはそれほど時間がかかりません)

■その他
 3階建以上の建物で、古いものは危険な状態になりますので、場合によっては3車線以上が通行不可能になります。(灘生協本部の倒壊では、1車線幅の歩道+2車線+1車線幅の歩道が完全に通行不可能になりました)
 皆さんのご近所の地図をこの基準で塗りつぶしてみてください。両側に歩道のついた幹線道路の車道くらいしか、通れる所が見つからないことでしょう。しかも、車の通れる道路はもっと少ないので、その道路に普段以上に車が集中することになります。

●通勤路は臨機応変に!
 しばらくすると、方々で復旧作業が開始され、交通手段もぼちぼち回復してきます。しかしながら、危険箇所の取り壊しとか作業用車両(消防、医療用の車両含めて)の出入りのため、通行不可能な箇所が毎日のように変わり、それに従って交通インフラも影響を受けます。(運行区間、経路が変わる)
 その都度、よく観察しながら歩き、また地元の人をつかまえて情報収集に努める必要があります。
 私の場合は、徒歩+電車でしたが、徒歩経路は数えきれないくらい多数あり、初めの頃は、ほとんど毎日のように通行可能な道が変わりました。途中で、バス、タクシーに出会い、そちら方面の道路がOKと判断できる時は、臨機応変に利用しました。
 また、一般通行用歩道橋を併設した鉄道橋も歩道橋の取り付け部が倒壊し、1.5kmほど回り道を余儀無くされたことがあります。それでも、国道43号線の車道を一部歩くのはかなり後まで残りました。夜間に道路が傾いていて、ミシミシ音を発する建物の横を通るのはなかなかスリルがありました。

●関連(地元)の地図は普段から用意を!
 大規模災害ともなると防災関係者、ボランティア含め、緊急に地図を必要とする人が大量に出現します。従って、震災地外も含め地図は書店からあっというまになくなります。
しばらくして出版社が増刷を始めるまでは、まず手に入りません。
 私自身は、わりあい詳しい神戸、西宮の最新地図を当時所有していましたので、会社の人から数えきれないくらいコピー依頼がありました。
 
●非常時に役立つ工夫
 ◎消毒用アルコールをスプレー式容器に入れたものを備えるべし
 我が家では、水道の復旧にほぼ1ヵ月かかりました。マンション本体は大丈夫だったのですが、地震の揺れは、建物と周りの地面を別々に振動させるので、建物の周り2mほどはトラクターで耕したような畑状になってしまいました。したがって、マンション内で水道、下水管(塩ビ)は使えなくなったのです。
 そこで、消毒用アルコールをスプレー式容器に入れたものを用意します。手洗いは、洗面器に水を7分目まで入れて、まずはそこでゴミを落とします。その後、アルコールを手に噴霧して手をぶらぶらさせれば、すぐに乾きますし、同時に消毒も完了。タオルは不要です。(丁度、写真フィルムの迅速乾燥と同じ理屈です)
 洗面器の水は1日1回取り替え、後は、トイレのタンクへ。トイレは1日1回のみ流しました。昔の汲み取り式だと思えば、耐えられます。流すのが1日1回なので、紙は流さずゴミ袋に。洗濯と風呂は、被災地の外に出て入りました。水は、飲料雑用一切含め、夫婦2人分で1日10リットル程で済みました。

 ◎懐中電灯(通勤用)は、肩からかけられるよう紐を付けておくべし
 説明するまでもありませんが、両手が空くからです。また、使用電池は単一に限ります。ヘッドランプは小形電池のため電池寿命が比較的短く、夜間車道を歩く時のように後ろ向きにセットしなくてはならない場合等あり、どちらかといえば通勤用には不向きです。

 ◎その他、底の厚い靴、マスク、リュック、軍手も必要です。(会社と自宅の両方に用意。なお、靴は釘を踏み抜かないもの)

味岡@神戸市東灘区

http://www.rescuenow.net/2009/10/post-1286.html

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