ブログ

手洗いのすすめ

01.02.21  この記事をGoogle Bookmarksに登録する この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事を含むlivedoorクリップ この記事をイザ!ブックマークに登録する この記事をニフティクリップに登録する この記事をdel.icio.usに登録する この記事を含むはてなブックマーク


 今回から少し趣向を変えて、新人研修に参考になるように、基礎的なテーマを書いていきます。
 簡単なようでなかなか実行が難しいのが、手洗いです。その証拠に、調理場に専用手洗いを作っていても使っているような気配のない物をよく見かけます。
 米国人の95%は、尋ねられれば「トイレに行ったら手を洗う」と答えるが、実際には3分の1が手を洗わないままトイレをあとにしている――。米微生物学協会が行った調査でこんな結果が出ました。
 また、ある人の観察では、男性は年齢に関係なく手を洗う率は(ほんの申し訳程度に水に指先が触れる程度を含めると)1/2といったところのようです。さらにしっかりと手を洗う人は10人中で2、3人位 ですね。"個室"から出てきても手を洗わない調理人、給仕人がよく観察されます...。平均的な日本人には、意外と手洗いの必要性が認識されていないのではないかと思えてきます。

●「手洗い」
・糞口感染に注意
 最近、SRSV(小形球形ウイルス)による食中毒が、頻発していますが、手洗いが悪くて手からの2次汚染が原因と推定される食中毒事件が発生しています。
 私が扱ったあるSRSV食中毒事件は、調理人自身が4日前に酢ガキを食べて、嘔吐、下痢の食中毒症状を呈し、2日間休んでいましたが、下痢も止まり、もういいだろうと出勤しました。忙しいので、2グループ20人分の刺身を引きました。そして、当日150人近く客があったにも関わらず、見事にその2グループだけが発症しています。当日メニューには焼きトリが中心でカキや2枚貝はありませんでした。

感染ルートは、
 [トイレ]→[調理人の左手]→[刺身]→Aグループ 発症(10人)
                →Bグループ 発症(5人)
 トイレの後、調理開始時に「手洗い・消毒」をきちんとしておれば、簡単に防ぐことができた事件です。SRSVは人の腸管でしか増殖しませんので、調理人の左手(トイレでお尻を拭く手)に付いたウイルスは増えません。つまり、左手1本で、15人分のSRSVを発症できるウイルス量があったことになります。食材で増えて起こす細菌性の食中毒菌と違い、食中毒予防の3原則の「菌を増やさない」ことで予防することができません。「菌を付けない」つまり、「手洗い」がより重要になります。
 お母さん、赤ちゃんのおむつ換え後の手洗いも大切ですよ。
   
●手洗いマニュアル
1. 水で手をぬらし石けんをつける。
2. 指、腕を洗う。特に、指の間、指先をよく洗う。(30秒程度)
3. 石けんをよく洗い流す。(20秒程度)
4. 0.2%逆性石けん液又はこれと同等の効果を有するものをつけ、手指をよくこする。(又は1%逆性石けん液又はこれと同等の効果 を有するものに手指を30秒程度つける。)
5. よく水洗いする。
6. ペーパータオル等で拭く。

▼ポイント
・調理を始める前だけでなく、調理の最中もこまめに手を洗う。
・生肉等に触れた部分(見えない菌)を意識して洗う。
・殺菌力をもつ薬用石けん・アルコール消毒液を使用する。
手洗いは、食中毒予防に最も重要な方法とわかっていても、十分にできていません。 食品製造工場には、手を洗わないとドアが開かない設備や、手洗い器に蛇口が無く、あらかじめプログラミングされていて、手を出すだけで水や石鹸液、消毒液が出て、水洗いから、石鹸洗浄、消毒と全員同じように手洗いができるような設備を入れている工場もあります。

▼予防法
簡単で難しい手洗いを行うには習慣づける以外に予防法はありません。
・使いやすい大きさと場所に専用手洗いを設置し、手洗いに適当な石けん、爪ブラシ、ペーパータオル、殺菌液等を定期的に補充し、常に使用できる状態にしておくこと。
・職場全体で取り組む
トップ自ら手洗いの見本を示す。
朝礼で手洗いの重要性を話す。
手洗いを現場でチェックする。
手洗いの標語、イラストを貼る
・デモンストレーションで、方法をマニュアル通りにする。

※九州の保健所で食品衛生監視員をなさっている西村雅宏さんにご協力いただき、ご自身が発信しているメールマガジン「食中毒の防ぎ方」を当コンテンツでも連載しています。

西村雅宏(にしむらまさひろ)nishi.jpg
食品衛生監視員歴16年。数多くの事例を通して実感するのは、食中毒の原因のひとつが情報不足による、ということだった。現場から知り得た ノウハウを伝えることで、少しでも食中毒を減らすことができるのではないか、という思いから食中毒予防に関するメールマガジンを発信している。

ページの先頭へ