安全・防災コラム

いちばん身近な危機「火災」 00.10.14 15:12


「火災には初期消火が重要。消火器を備えよう」

■VOL.1. いちばん身近な危機「火災」
タバコの火や天ぷらの油などで、「一つ間違えれば火事になっていたかも」と冷や汗をかいた経験はありませんか? 火事は、私たちにとって身近な危険であると同時に 、私たち自身の自覚や備えによって防ぐことのできる災害です。そこで、今回は、火災の原因や燃焼と消火の原理などを思い出しつつ、火災予防のための備えを見直したいと思います。

●データで見る火災の原因
東京消防庁の調査によると、平成11年中に起きた火災件数は6,777件で、前年に比べ222件(3.4%)増加。年間136人の尊い生命が犠牲になっています。主な出火原因をみると、最も多いのが「放火(疑いを含む)」の2,731件で、前年に比べ55件 (2.1% )増加。以下「たばこ」1,063件(15.7%)、「ガスこんろ」541件(8.0%)、「火遊び」 218件(3.2%)、「たき火」111件(1.6%)と続き、この順位は平成3年以来不動です。 5位以下では、「電気こんろ(クッキングヒータ含む)」や「ろうそく(灯明含む)」などによる火災が増加しているといいます。どうやら、火事の大半は、火気の取り扱いの不注意や不始末が原因となっているようです。

【東京消防庁<消防ニュース>】

●火はなぜ燃える?
 火がもたらす災いと書いて、火災。火はひとたび燃え上がると、木造家屋や高層ビルの内部、野原や山林など燃えるものがある限り拡がって、膨大な熱エネルギーと煙やガスを放出し、人間の手には負えないモンスターと化してしまいます。この「燃焼」という現象を、ちょっと「かがく」の目で見てみましょう。化学の時間に習ったことですが、物が燃えるのは、空気中の酸素と物質との急激な 化学反応です。酸化剤である酸素、燃料となる可燃性物質、熱エネルギー(温度)の 3要素がどれひとつ欠けても、燃焼は起こりません。つまり、物が燃える条件とは、以下の3つになります。
1.酸素があること
2.燃える物があること
3.十分な温度があること

燃焼の化学

 木材が燃える場合を例にすると、何らかの熱が加えられた木材は次第に水分が蒸発し、100度ですっかり乾いた状態になります。その後、熱分解が始まり、焦げて色が 変わってきます。そして、CO,CH4,C2H4,H2などの可燃性ガスや不燃ガスを発生し、木材は炭化します。発生した可燃性ガスは周囲の空気(酸素)と混合され、熱エネルギーが加わると、炎をあげて燃焼するというプロセスになっています。

●消火の原理とは?
 燃焼に上記の3要素が必要であるならば、どれか一つの要素を除けば火を消せると考えるのが自然ですよね。答えは、当然イエス。そこに消火の原理があります。消火の主な方法としては、酸素を除去して濃度15%以下までに下げて消火する「窒息消火」、燃料となる可燃性物質を取り除く「除去消火」、燃焼物を着火温度以下に下げる「 冷却消火」があります。もっとも普遍的な消火法は、「水」による冷却消火です。古くは江戸時代から、街には溜枡や溜井戸などの消防用水が設けられ、消防水利が確保されてきました。現在では、建築材料も多種多様になって、燃焼の形態が大きく変わって来ているようです 。そのため、消火のための材料や技術の幅広い研究が行われ、とりわけ阪神・淡路大震災を契機に、浸透剤や防炎剤を添加することで少ない水で効果 的に大火の延焼を阻止する方法などが開発されています。

火災を鎮圧する

●初期消火が重要!
 さて、燃焼と消火の原理をおさらいしたところで、今度は実際に私たちにできる消火について考えてみましょう。平成11年版の『消防白書』には、「初期に消火器や簡易消火器具(水バケツ)等を使用したものが33.6%だが、35.0%は初期消火を行わなかった」という記述がありますが、小さな火から恐るべき怪獣へ成長させないためには、何よりも初期消火が重要なのです。一般 家庭での初期消火は、やはり消火器を用いるのが最良の選択で、消火器がなければ、油が燃えている場合以外は水をかけて冷却消火できます。天ぷら油などの出火には、濡らした毛布やシーツなどの布をかけて窒息消火するのが良いようです。

火元別初期消火方法
東京消防庁<くらしの安全・すまいの防火>

●消火器を備えよう!
 家庭で使われる消火器の代表的なものに、「粉末消火器」があります。これは、中の粉末が炭酸ガスあるいは窒素ガスの圧力で放出され、酸素を遮断することで窒息消 火するものです。また、炭酸カリウムなどの水溶液が入った「強化液消火器」もあり 、窒息および冷却によって効率良く消火できます。いずれも普段から目につく場所に置いておくこと、使い方を確認しておくことが必須です。天井に火が燃え移ったら、もう、一般の人に消火は無理とされています。可燃性ガスが充満し、一瞬にして爆発的に火が室内を覆いつくす状態(フラッシュオーバー)となるからです。そうなる前の数分間に初期消火するには、消火器を探したり使い方に手間取っている余裕はありません。  さて、あなたの家の消火器はどこにありますか? 使い方はわかりますか?
(Text by Mizuho Owada)
  
  <参考文献>    
・『現代建築学 建築防災・安全』 宮崎益輝著 鹿島出版会    
・『建物の火災と安全のはなし』 牟田紀一郎著 鹿島出版会    
・『東京の消防百年の歩み』 東京の消防百年記念行事推進委員会編著    
・『平成11年版 消防白書』 消防庁編 ぎょうせい

消火器はショップレスキューでも取り扱っております

※この記事は、2000~2004年頃の「rescuenow.net」に掲載されたものを再掲載したものであり、筆者の所属や登場する団体名等は、このコラムの執筆当時のものです。

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