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油断、そして行動
2000年3月31日
油断していた。
噴火までまだ6、7年あるとたかをくくっていた。
有珠山は「うそをつかない山」「正直な山」と呼ばれており、規則正しくかつ噴火活動は古くから定石どおりに起こってきた。
<噴火前の有珠山と昭和新山>
23年前、私は東京から帰る飛行機の中で噴火を経験した。私の乗った次の便からすべての飛行機が運休となったことをはっきりと覚えている。
雲仙の普賢岳、阪神淡路の大震災を、テレビで見た。まったく他人事であった。遠い、いわばよその国のことのように、気楽な気持ちで眺め、地元の人間の苦悩や、哀しみには思い至らなかったことをあらかじめ告白しようと思う。
3月27日。
テレビは有珠山の火山活動が活発になっていることを告げていた。あちらこちらのホームページ(以下hp)を見て回った。当然地震研究所や、有珠山の火山研究所のhpも見に行った。各報道機関、行政のhpも見に行った。テレビの臨時ニュースで、岡田教授から「一両日中に噴火する」と発表があった。
しかし、私が必要としている情報は、つまり、住民が求めている情報は何一つなかった。どう考えても、これまで体験したことのない揺れ方であったし、今までにないほど大量の水蒸気が山肌から噴出している。午前10時に自分の目で見える範囲、体で感じることができる範囲を記録して、仲間内に伝えるためにhpを作った。
この夜は、揺れに揺れて、ほとんど一睡もできなかった。
3月28日。
朝6時に電話がなった。
「8時30分から自治会長と農事組合長の会議があるから出席せよ」とのこと。事態は一変していた。
伊達市長をはじめ市幹部と、農協の主だった幹部すべてが、長和の福祉センターに来ていた。伊達市長は重々しい口調で、「今回の有珠山の活動は、頂上噴火につながる可能性がある。頂上噴火が起こると、おそらくは、長和地区については全域壊滅的な被害が想定される。ここに集まった自治会長と農事組合長各位は、速やかに全住民に現状を告知して、自主的な避難を開始していただきたい」と、語った。質問はほとんどなく、そそくさと住民間の温度差を縮めるために開かれた会議の内容を担当する自治会、農事組合員に伝えるために散った。
この段階でもなお、各報道機関、関係機関、自治体のhpには、何の関連情報も掲載されていなかった。怒りが込み上げ、これは徹底的にhp作りに取り組もうと決意した。
このような経緯で今回の有珠山ネットは誕生した。まったく個人の、しかも、決してパソコンに精通していない者が始めたのだ。
あらかじめお断りしておきたいことがある。
冨田は決して優れた人間ではないということ。ごく普通の親父である。ごく普通の親父が、自分の目で見て、触って体験したことを基準にhpを作っている。当然、取材が不足する。これを補うボランティアスタッフについても、冨田が取材対象を選んで逐一指示する。で、自分が確実に確認したこと以外には一切触れるなと命じている。なぜか。
非常に多くの人が見るhpであると同時に、避難所で生活を余儀なくされている人、被災者のために作っているhpだからである。避難所に配備されているすべてのパソコンについては、インターネットに接続した段階で、当方のhpが立ち上がるようにしている。避難所の重要な情報源となっているのである。この情報源に、万が一にでも不正確な情報は掲載できない。ともすればパニックすら引き起こす可能性があるのだ。現在、現地からの情報を流すhpは50を超えている。冨田自身は非常に大切なことだと考えている。
しかし、ごく一部ではあるが、不正確な情報を掲載していて、避難所が混乱したということがあるという話を市役所の担当部署から聞いた。この担当者は、誤報の事実を知りながら、それを指摘しなかったということで、冨田は激怒した。誤報を放置した情報担当者の責任は、非常に重たいのはいうまでもないことである。民間からの情報である。信頼性が問われるのは当然のこと。可能な限り誤報を少なくするには、自分たちで確実に確認した事実以外には決して言及しないことが何より重要になる。
とはいえ、被災者が被災者の目で見、聞いて体感したことを、いかなるフィルターも通さず自分の言葉で語る重要性を今回の災害で学んだ。これまで、情報の受け手でしかなかった被災者は、実は最も優れた情報の発信者であった。優れた情報の発信を続けるために、非常に多くのプロが、まったくの手弁当で速やかに参加してくれていることが、インターネットの非常に優れた点であり、今後の災害報道を根本から変える可能性を強く示唆している。
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2000年3月31日、有珠山が噴火しました。有珠山噴火災害に関して、過去のどの災害とも大きく異なっている点がありました。それは、本格的な「インターネットによる全国的な情報ボランティアネットワーク」の誕生。「被災地からの、市民の、市民による、市民のための情報発信」というこれまでに無かった活動を、インターネットを通じて日本全国から集まった有志達が、陰ながら支えるという重要な役割を果たしています。そのため、今後の災害時の市民情報発信の在り方を考える上でも非常に重みのある活動となっているのです。これは、この「有珠山ネット














